不動産ニュース / 団体・グループ

2010/12/17

「平成23年度税制改正大綱」に各業界団体がコメント

 政府与党が16日発表した「平成23年度税制改正大綱」ついて、各業界団体のトップから以下のとおりコメントが発表された。


■(社)不動産協会(RECAJ) 理事長 岩沙 弘道氏

 財政状況の厳しい中、大都市の再生に関する税制や良質な住宅ストックの形成に資する税制など、当協会の要望が概ね認められたことを高く評価する。ご尽力頂いた関係各位に対して、厚く御礼申し上げたい。

 当協会が最重要項目として要望していた大都市再生に関する税制については、都市再生促進税制の延長に加え、国際競争力強化の観点から「特定都市再生緊急整備地域」に係る支援措置とともに、「国際戦略総合特区」に係る特例措置が創設されることとなった。ハード・ソフト両面での支援の相乗効果により、我が国の大都市が世界中の企業や高度人材から選ばれる魅力的な拠点として整備されることを期待している。次期通常国会での、「特定都市再生緊急整備地域」・「国際戦略総合特区」創設に係る法案、ならびに税制関連法案の早期成立を是非ともお願いしたい。
 なお、産業界が強く要望していた法人税率の5%引き下げが実現したことについては、我が国の投資・事業環境を世界水準に向け整備し、国際競争力を高める第一歩であり歓迎したい。

 「新築住宅の固定資産税の減額措置」については、昨年の税制改正大綱で検討事項とされたことを受け、本年の政府税制調査会で見直しを検討する議論がなされたが、結論が持ち越され、期限切れを迎える平成24年度税制改正で再度議論されることとなった。本措置については、60年近くの長きにわたり、国民の住宅取得を支援してきた基盤となる税制であり、長期安定的に維持すべき制度として理解されるものと考えている。

 今回の税制改正を踏まえ、不動産業界としても、都市・地域再生の推進、良質な住宅の供給、地球環境問題等への対応に全力で取組み、これらを通じて国民生活の向上と日本経済の発展に努めて参りたい。


■(社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏

 本会では、厳しい経済状況下において、国民の住生活環境の改善の観点から、都道府県宅建協会と連携して政府に対して、平成23年度の税制改正大綱について提言を行ってまいりました。

 この度の税制改正大綱において、新築住宅に係る固定資産税の軽減措置が堅持されたことや適用期限を迎える各種税制特例の延長などがなされたことは、国民の住宅取得に貢献する措置として評価しております。

 特に、住宅取得資金に係る贈与税非課税制度の運用の改善や住宅の所有権の移転登記等に係る登録免許税の軽減については、建築着工件数の回復がおもわしくない中、住宅建設が進むのではないかと期待しております。

 また、法人税軽減措置の代替措置として急きょ浮上した事業用資産の買換特例(長期保有土地等の買換特例)措置については、地域経済の活性化に資することから、提言活動を積極的に展開した結果、堅持されることとなったことは大いに喜ばしいことです。

 最後に本会では、これからも不動産流通の活性化に向けて国民本位の目線で提言活動を展開するとともに、消費者保護の観点から、不動産取引全般を網羅する「不動産取引法」の研究や「不動産取引所」の全国展開に向けた方策の研究などの活動に尽力していく所存であります。


■(社)全日本不動産協会 理事長 川口 貢氏

 企業の成長を促し、雇用と国内投資を拡大させるため、12年ぶりに法人税を引き下げる一方で、所得税や相続税など個人向けが増税とされた。このことが経済動向にどのように影響するのか不透明ではあるものの、贈与税を減税することで高齢者が保有する資産を若年世代へ資産移転させ経済の活性化を図ろうとすることは評価したい。
 しかしながら、これらの税制改革を進めるにも財源不足であることは否めず、消費税の増税議論は避けられないのではないかと思う。本会も、特に住宅に係る消費税のあり方について、早急に議論を深めていく必要がある。


■(社)不動産証券化協会 理事長 岩沙 弘道氏

 不動産投資市場の活性化は、資金の循環を通じて都市再生や地域活性化を促進し、更には日本の成長を牽引するものであり、官民一体となって不動産投資市場の更なる発展を促すことが重要である。

 政府税制調査会においても不動産投資市場の重要性が認識された結果、平成23年度税制改正大綱において、当協会が要望した「投資法人等の不動産取得税の軽減措置の延長」、「投資法人の導管性要件における投資口の国内募集割合を50%増とする要件の明確化」が措置されたことは、高く評価したい。また、上場株式等の配当・譲渡所得に係る軽減措置の適用が2年間延長されたが、個人投資の活性化に資するものとして歓迎したい。

 来年度は、Jリート市場創設10周年を迎える。当協会では、来年度が、不動産投資し以上の次の10年を見据えた飛躍の年となるよう、国際的に見劣りのしない法制面・税制面での市場環境整備、運用資産の多様化、投資家層の拡大等に全力を挙げて取組む所存であり、不動産投資市場の発展を通じて、我が国の成長を牽引して行きたいと考えている。


■(社)不動産流通経営協会 理事長 大橋 正義氏

 今般発表された税制改正大綱は、足もとで景気の減速感が強まりつつあり、厳しい雇用情勢やデフレ経済が継続する中、内需の拡大を促進させるという観点等に配慮しつつ決定されたものと考えている。
 不動産流通市場においては、価格の底打ち感に加え、「フラット35S」の金利引き下げや、住宅取得資金贈与非課税枠拡大等の政策支援により、不動産取引需要は回復傾向にあり、低迷期を脱しつつある。
 今回、当協会から要望していた住宅用家屋についての登録免許税の特例の延長や不動産売買契約書に係る印紙税の特例の延長については、その回復の足取りを阻害させない内容であると評価したい。
 また、若干の見直しはあったがバリアフリー及び省エネ改修工事促進のための税制の延長については、住宅の「量」から「質」の転換、「新成長戦略」で掲げられたストック重視の方針を着実に推進することを目指していると思う。
 一方、今回の大綱の目玉である法人課税の引き下げは、それが単なる企業収益の向上に留まることなく、不動産業はもとより日本経済全般の活性化につながることを期待する。
 最後に、今般の税制改正にご尽力いただいた、政府・与党の関係者の皆様に厚く御礼申し上げたい。


■(社)住宅生産団体連合会 会長 樋口 武男氏

 住宅関連税制は、住団連の要望していた、登録免許税、印紙税の税率の軽減措置の延長、並びに、バリアフリーリフォーム、省エネリフォームに対する減税(投資型)制度の延長、さらに、サービス付き高齢者住宅供給促進税制の創設が認められた。これらの措置は、これからのストック型社会を目指す上で、また、高齢化社会に対応していく上で評価が出来る税制改正大綱である。
 ただ、新築住宅等に係る固定資産税の軽減措置について24年度改正迄に議論される事とされているが、住宅取得・保有に係る税は多重多岐にわたっており、国民の住生活の安定のためにも、引き続き軽減措置の継続を求めていきたい。
 経済環境は依然厳しい状況が継続しており、今後、政府の速やかな経済対策の実施が良質な住宅の普及・促進を推進し、内需拡大、地域経済の活性化にも繋がることを期待している。


■(社)日本ビルヂング協会連合会 会長 髙木 丈太郎氏

 今回の税制改正大綱では、国際戦略総合特区における優遇税制の創設や省エネルギー化のための設備投資に対する環境関連投資減税の創設など、当連合会が重点的に要望した項目が盛り込まれており、新成長戦略に基づく都市の国際競争力強化や地球温暖化対策を推進する方向性に沿っており、高く評価したい。
 なお、石油石炭税の上乗せの形で導入されることとなった環境税については、使途が省エネルギー対策に限定されていること、税収見込みが3年後においても環境省の要望見込み額の十分の一程度に抑えられていることから、ビル経営への影響は当面軽微なものと考えている。

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