不動産ニュース / リフォーム

2014/10/20

既存マンションの「総合省CO2改修」を積極提案/長谷工グループ

改修が終了した「エステート鶴牧4・5住宅」。外壁には外側から断熱材が貼りこまれ、白一色だった塗装は、新たにグレーのアクセント塗装を施された
改修が終了した「エステート鶴牧4・5住宅」。外壁には外側から断熱材が貼りこまれ、白一色だった塗装は、新たにグレーのアクセント塗装を施された
外壁の工事風景。既存の外壁に断熱材を貼りこみ、外断熱施工を行なうことで、居室内の温熱環境を大幅に向上させた。断熱材で覆われることで、外壁コンクリートの中性化も防ぐことができ、耐久性は2倍に向上。メンテナンスコストも下がる
外壁の工事風景。既存の外壁に断熱材を貼りこみ、外断熱施工を行なうことで、居室内の温熱環境を大幅に向上させた。断熱材で覆われることで、外壁コンクリートの中性化も防ぐことができ、耐久性は2倍に向上。メンテナンスコストも下がる

 長谷工グループは、既存マンションの大規模修繕における「総合省CO2改修」の提案を、(株)長谷工リフォームを中心に積極展開していく。第1号物件となる「エステート鶴牧4・5住宅」(東京都多摩市、全29棟、総戸数356戸)の改修が完了したことを受け、同住宅で各種データと居住者アンケートを継続し、改修効果を検証、今後の提案に活かしていく。

 同住宅は、壁式工法の低層マンションが中心。今回の改修は、2013年2月から11ヵ月かけ実施してきたもの。当初は、一般的な大規模修繕を想定していたが、長谷工グループの「総合省CO2改修」が国土交通省の「平成24年度住宅・建築物省CO2先導事業」に採択したことを受け、導入を決定した。

 外壁に、既存の内断熱に加え、厚さ50mmの断熱材を貼り込み外断熱仕様とし、屋根は新たに厚さ40mmの断熱材を敷き、スレート瓦で覆った。窓は、居室側の引違い窓には樹脂サッシを追加し二重窓に、出窓は真空ガラスに換装した。同時に、高圧一括受電を導入した。改修により、建物寿命が約2倍に延び、光熱費が約2割削減できると試算。また改修住戸は、中古流通価格が約300万円上昇しているという。

 改修内容の理解を得るため定期的な勉強会を繰り返し、改修工程を再現するサンプルルームも設け、居住者への周知を行なった。すべての工事は、住民が住みながら行なった。改修費は、約10億8,600万円で、戸当たり約230万円。断熱改修に係る工事費の約半分、4億円余りが同省から補助された。

 今回の改修により、外壁や窓を通じた熱損失量が大幅に低減。CASBEE改修による評価は、BマイナスからAランクに向上した。また、今冬と昨冬で室内環境を比較したところ、居室内の温度変化が縮小したほか、住戸位置や間取り等が異なる住戸間の室内温度差もほとんどなくなった。ユーザーアンケートでも、50%以上が不満を漏らしていた結露やカビについての不満度が5%前後にまで減少。暖房なしの過ごしやすさや暖房前の朝の過ごしやすさ等の満足度が大きく向上(15%→70%、20%→85%)していた。

 同社は、同住宅における室内環境調査に加え、躯体の中性化調査、気密性調査、エネルギー消費量調査などを、ユーザーアンケート共に継続。総合省CO2改修のビジネスモデル化を進め、築30年以上、概ね3回目の大規模修繕を迎える壁式工法の低層マンションを中心に提案していく。今後は、年間600戸を目標に受注活動を進めていく。

 20日会見した、長谷工リフォーム代表取締役社長の鹿倉克幸氏は「今回改修が終わった住宅は、もともと一般的な大規模修繕で検討が進んでいたが、良好な居住環境なので、何とかこの住まいを孫の代まで残せるよう延命を図りたいという居住者の声を受け、長谷工グループの提案が国土交通省の採択を得られる(補助金を使える)ことを前提に、依頼を受けた。管理組合は大変熱心で、勉強会の出席者数は最終的に100名を超えた。今回のような先を見据えたバリューアップ改修は、わが社が一番得意とする提案。すでに、東京・神奈川・千葉で8団地・約2,800戸で検討していただいて(勉強会を開催して)いる。今後はますます競合が激しくなり、コストダウンなど管理組合からの期待も大きい。当社だけでなく、長谷工コーポレーションや技術研究所などグループの総合力で提案を強化していきたい」などと語った。

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