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2015/1/5

「2015年 年頭挨拶」(各社)

 不動産会社および住宅会社各社トップは、仕事始めにあたり、下記のような年頭所感を述べた。(順不同)

三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏
三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏
住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏
東急不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 金指 潔氏
東京建物(株)代表取締役 社長執行役員 佐久間 一氏
野村不動産ホールディングス(株)取締役社長 中井 加明三氏
森ビル(株) 代表取締役社長 辻 慎吾氏
(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 辻 範明氏
(株)大京 代表執行役社長 山口 陽氏
三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長 竹井英久氏
三菱地所レジデンス(株)取締役社長 小野真路氏
大和ハウス工業(株)代表取締役社長 大野直竹氏
積水ハウス(株)代表取締役社長兼COO 阿部俊則氏
旭化成ホームズ(株)代表取締役社長 池田英輔氏
三井ホーム(株)代表取締役社長 市川俊英氏
トヨタホーム(株)取締役社長 山科 忠氏
ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏
(株)LIXIL住宅研究所代表取締役社長 今 城幸氏
サンフロンティア不動産(株)代表取締役社長 堀口智顕氏
(株)さくら事務所代表取締役社長 大西倫加氏


■三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏

 2014年末には、衆議院解散・総選挙が実施されました。その結果、安倍政権は、推進する政策について信任を得ましたが、国の財政を考えると、社会保障給付の合理化等により歳出を抑えるとともに、成長戦略に掲げられている法人税の引き下げや岩盤規制の突破により、デフレ脱却と持続的な経済成長を必ず実現させなければなりません。

 2015年の日本経済は、急速に進んだ円安や顕在化した労働力不足の影響を注視する必要がありますが、企業業績は改善しており、雇用・所得環境の好転が続き、個人消費も緩やかに拡大していく見通しです。

 2014年の当社グループは、日本橋や柏の葉スマートシティにおいて、国内事業の重要戦略である「街づくり」のコンセプトを具体化した姿を示す節目を迎え、グローバル展開においても、新たなエリア、事業メニューを拡大させることができました。また、15年3月期に史上最高益の達成が見通せる状況にあるなど、6ヵ年にわたる中長期経営計画「イノベーション2017」前半3年間の仕上げの一年として、満足のいく成果を上げることができ、さらには、32年ぶりの増資で、将来の成長に向けて事業機会を機動的に獲得できる態勢を整えることができました。

 2015年は、「イノベーション2017」後半年度スタートの年となります。オリンピック開催の2020年や超高齢化が進むその先の社会までを見据え、すでに確保されている開発案件の付加価値をより高め、顧客ニーズの質の変化への対応と、ビジネスモデルの革新、新たな需要の創造に取り組み、成長を遂げたいと思います。同時にこの3年間着実に進捗してきたグローバル化も大きく加速させていきたいと考えています。

 今年は、社会の変化をチャンスと捉え、先駆的なプロジェクトを推進してきた当社のDNAを発揮し、グループ一丸となって、もう一段上の成長を目指すスタートの年にしたいと思います。

 最後に、皆様のこの1年のご健勝とご多幸をお祈り申しあげます。


■三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏

 昨年は、消費税が5%から8%に増税された反動減が4~6月期において予想以上に大きく、それを受けて7~9月期の実質GDP成長率改定値は1.9%減に留まるなど、一部に明るさが感じられたものの困難の多い一年であった。2015年は、政権の長期安定や消費増税の先送りにより、国内景気が次第に回復していくことを期待している。税制改正大綱についても、不動産に関する税制は引き続き配慮されており、業界にとってプラスの影響となるだろう。

 オフィス賃貸市場については、新規供給量の減少、マクロ経済の回復傾向を背景に、都心の空室率は引き続き改善の動きがみられ、賃料の上昇も続いていることから、市場は穏やかな回復局面に入った。次の供給ピークであると見込まれる2018年を迎えるまでに、引き続き競争力を保持し、体制を整えておきたい。
 投資マーケットにおいても東京が魅力的なマーケットと捉えられていると感じており、大型物件の取引がされている。当社もタイミングを見極めながら適切に対処していかなければならない。

 分譲マンション市場の販売状況は、不動産価格の先高観、低金利、相続対策ニーズ等により、全体的に好調に推移した一年であった。一方、業界全般では懸念されていた建築工事費の高騰や用地取得の難しさから、郊外部を中心に苦戦を強いられるものも現れてきたが、当社は工夫を重ねて厳選投資をしていきたい。

 昨年5月に新中期経営計画を発表し、2014年度からの3ヵ年を「企業価値向上を実現する3年間」と位置付け、成長分野への投資効率を重視した厳選投資を行い、将来への成長につなげていく。
 2015年は新中期経営計画の2年目にあたるが、当社グループの長期ビジョンにおいて「As One Team」を掲げているように、グループの力を合わせ、目標を達成できるように努力を重ねて参りたい。


■住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏

 昨年の日本経済は、消費税増税の影響などにより、アベノミクスの勢いに停滞感がみられたものの、追加金融緩和を機に低金利と円安が加速、株価も持ち直し、足元では景気の回復期待が高まりつつある。安倍政権には成長戦略の具現化を進めるとともに、消費マインド回復のため即効性のある経済対策を期待したい。とりわけ、内需の柱である住宅需要刺激策の継続・拡充を強く望みたい。

 当社グループは、4月より第六次中期経営計画の最終年度を迎える。足元の業績は、昨年に続き単年度での連続最高益更新が視野に入ってきた。中計で目標に掲げる3ヵ年合計での過去最高業績達成に向け、全社一丸となって取り組みたい。競争激化が進む開発用地の確保や建設コスト対策、新分野の開拓など、課題は尽きない。グループ役職員一人ひとりが「高い目標」を掲げ、果敢にチャレンジし、個々の力を最大限に発揮できるよう、より一層の奮起を期待したい。

 今年も一年間、明るく元気に頑張ろう。


■東急不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 金指 潔氏

 当社は、昨年11月にホールディングス体制となってから初めての中長期経営計画を発表した。東急グループの総力を挙げた再開発事業の推進により渋谷駅周辺が大きな変貌を遂げ、東京五輪が開催されるなど経済活動の節目を迎える2020年をターゲットイヤーとして、「より長期を見据えた経営」へとシフトし、当社グループの将来の「ありたい姿」を明確化し実現するために策定した。

 計画に基づき、当社は、今年から本格的な成長フェーズに移行していく。これまでどおりお客様目線を基本とした上で、渋谷再開発や銀座などの優良アセット開発や、拡大する既存ストック市場からの外部アセットの獲得・関与により、「関与アセットの拡大」を推進し、シニア関連需要、インバウンド需要などが期待される新たな成長分野においては、当社グループ独自のウェルネス事業・ハンズ事業等や約1,000万人のお客様の接点など当社グループの強みを最大限に活かした「新たな需要の創出」を図っていく。

 またグループ経営戦略としては、重複事業整理、M&A戦略による事業強化やITシステムの効率化など管理体制の整備によりグループの効率性向上を図り、グループ内連携施策の実施による事業機会創出や価値向上を図りつつ、グループ人材の活性化や育成支援など一体感醸成に向けた施策を推進していく。

 これら様々な施策を実現することにより、東急不動産ホールディングスグループは「価値を創造し続ける企業グループへ」成長を遂げ、これからも不動産業界の発展に力を尽くしてまいりたいと考えている。


■東京建物(株)代表取締役 社長執行役員 佐久間 一氏

 消費増税後の経済のマイナス成長や消費不振による消費再増税の延期などがあったものの、12月の衆議院議員総選挙においてアベノミクスが信任されたことによる第三の矢(規制改革)の一層の進展を期待する。

 当社グループを取り巻く事業環境においては、賃貸オフィス市場については、都心部での空室率の低下傾向の継続や平均賃料の上昇がみられ堅調に推移している。一方、住宅分譲市場においては、依然として建築費の高止まりが続いており、開発用地の取得競争はますます激化している。不動産投資市場においても、世界的な金融緩和を受け非常に高額な取引が随所で見られた。

 当社にとって今年は新しいグループ中期経営計画のスタートの年となる。最大のテーマは「収益力の強化」。その目標達成のためには、ハードだけではなく上質なソフトやサービスを提供していくことが必要。そのことをグループ役職員ひとりひとりが強く意識し、最大限のグループシナジーを発揮することで収益力の強化につなげていきたい。


■野村不動産ホールディングス(株)取締役社長 中井 加明三氏

 今年2015年は、「乙未(きのとひつじ)」の年です。この干支の特徴を一言でいうと「転換期」です。乙(きのと)という文字は草木の芽が曲がりくねっている象形であるため、新しい改革創造は進めるのですが、まだまだ外の抵抗力が強いという意味です。

 未(ひつじ)という文字は、枝葉の繁栄・繁茂を表しますが、枝葉が繁茂すると暗くなることから(ひつじ)を(くらい)とも読みます。

 これを、私なりに解釈しますと、今年は、新しい改革を進めるも、強い抵抗力があります。それに負けず改革を進め、旧態依然とした慣習を改めて、新しい価値観を受け入れる年と言えます。即ち長期的な計画や目標を立て、それに向けて突き進んでいく事が、重要な課題となる年だということです。

 当社に当てはめれば、過去の成功体験に満足することなく、我々のステージを、さらにもう一段上げていく為に、新たな「企業風土改革」が必要不可欠だと考えています。

 企業風土改革とは、我々が今まで正しいと思っていたことを、否定することからスタートしなければならず、生みの苦しみを経験するかもしれません。守るべき我々のDNAは、しっかり守っていかなければなりませんが、その上で変えるべき風土をどのように変化させ、醸成して行くかが重要なのです。

 ダイバーシティーの推進、即ち多様性を認め合える企業風土に挑戦して3年目となり、いよいよ核心に近づいて来たと思います。多様な価値観を認めた上で、一人一人の資質や能力を考えた育成や指導が、出来るかどうかが、この改革の核心です。特定のジャンルだけでなく、様々な分野に挑戦させ、幅広い対応力を身に着けさせることや、一人一人の生活や事情を認識した、適切な業務支持ができることです。又、画一的な指導や支持が、如何に非効率で非生産的であるかを、理解させることなのです。

 「企業風土改革」が実践されれば、我々野村不動産グループは一段とステップアップし、大きく変貌を遂げることになると確信しています。この企業風土は一人一人が変わることからスタートします。困難な改革ではありますが、全員で新しい野村不動産グループを創り上げる為に挑戦しようではありませんか。


■森ビル(株)代表取締役社長 辻 慎吾氏

 2015年は「テイクオフ」の年になる。虎ノ門ヒルズ周辺の街づくりをはじめ、森ビルの未来を担う大規模再開発の骨格を固め、いよいよ離陸する年だ。10年、20年先の森ビルの将来は、そして、東京、日本の未来も、この1年にかかっていると言っても過言ではない。

 まず、虎ノ門ヒルズ周辺の10ビル、9ビル、11ビルの再開発プロジェクトを、新駅構想も含めた一体的な街として計画し、「これぞ森ビルの都市づくりだ」というものにつくりあげていく。この構想が実現したとき、「本当の虎ノ門ヒルズ」が完成する。これらは国際新都心の中核を担い、東京再生のシンボルとなるプロジェクトだ。さらに、虎ノ門・麻布台プロジェクトや六本木5丁目プロジェクトは、六本木ヒルズを超えるようなインパクトを世の中に与えるものになる。森ビルならではの都市づくりを目指し、クオリティもスケジュールも妥協せず進めていく。

 我々の仕事に簡単な正解はない。もし簡単に答えが見つかるとすれば、それは森ビルの仕事ではない。私が大切にする「森ビルらしさ」とは、ひとりひとりが考えて考えて考え抜いた結果、やっと辿り着いた答えの集積だ。森ビルに対する周囲の期待値も上がっている。次のステージを目指すためにも、これまで以上に考え抜いて仕事に取り組んでほしい。「東京を世界一の都市にする」という我々の志は、時代の要請とも完全に一致している。「2015年も、森ビルはますます森ビルになる」、この気概を持って、皆で飛び立とう。


■(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 辻 範明氏

 昨年は、4月以降に個人消費を中心とした消費税増税前の駆け込みの反動が表れ、夏場になり反動減の影響が若干薄らいできたと感じていた頃、豪雨や台風など天候不順の影響で全体的に停滞感が漂ってしまいました。秋口には10%への増税時期の延期の発表、追加金融緩和により円安株高が加速し、年末には総選挙がありました。与党が圧勝して現有勢力を維持するという結果となりましたが、今年は景気がより一層明るさを回復することに期待したいと思っています。

 マンション市況につきましては、首都圏および近畿圏の供給が予測した戸数に届かない結果となりそうです。都心部の高額マンションやタワーマンションは堅調に推移していますが、郊外部のマンションについては、土地代や建築コストが上昇し、事業主の慎重姿勢が強まっていると感じています。

 この様な状況ではありましたが、当社グループは、昨年一年間で順調に数字を伸ばすことができました。建設関連事業では、中間決算発表時に受注高の期初予想を1割上回る4,400億円に上方修正しました。来期の受注材料も今期と同程度を確保できている状況です。サービス関連事業においても総じて頑張っていると思います。販売や管理、リフォームなどは、同業他社との厳しい競争に巻き込まれやすい事業ではありますが、今年もさらに業績を伸ばすためにお互いに知恵を絞っていきましょう。

 当社グループの原点は安全、安心で高品質なマンションをつくること、そして、ホスピタリティをベースにしたサービス事業を確立することです。そのためには、事業主、取引先、購入者、入居者の皆様にご評価いただけるように地道に信用・信頼を積み重ねていくことが重要だと思います。グループの連携をますます強化し、改めて“全社員が長谷工グループの営業マンになろう”ということを意識して行動して頂きたいと思います。

 今年はNBs計画の2年目に入ります。キーワードは“順風謙虚”とします。昨年は、当社を取り巻く環境が想定以上に順風だったと思います。しかし、調子の良い時に足元をすくわれた歴史があります。いつ風向きが変わるかもわかりません。再誕した長谷工グループを持続的に成長させるという意味も含め、何事にも慎重にあたり、謙虚でありたいと思います。そして、建設関連事業とサービス関連事業の両方に軸足をおく経営の実現に向け今年も邁進していきましょう。


■(株)大京 代表執行役社長 山口 陽氏

 消費税率引き上げが2017年4月に延期されたが、円安・物価上昇による実質賃金の低下等で消費者心理は低迷している。また、地価上昇や建築費高騰のもと不動産価格は上昇しており、我々を取り巻く環境は、昨年以上に厳しくなると予想される。

 大京グループは「フローとストックの両輪経営」を進めているが、これまでは「マンション開発」の延長線に「管理」、「仲介」、「リフォーム」があり、グループの中心は「開発」だった。これからは「お客さまが求めるもの」を中心とした経営に変わらなくてはならない。そのために「グループ連携」を従業員全員で実現し、お客さまとの対話を通じて、お客さまが求める商品やサービスを提供していくことが必要だ。

 当社は昨年12月に設立50周年を迎えた。次の50年に向け、グループが一体となり、お客さま満足度をさらに高め、様々な場面や事業でお客さまに選び続けていただける「新しい大京グループ」をつくりあげていこう。

■三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長 竹井英久氏

 昨年4月の消費増税後の景気動向は、駆け込み需要の反動減の影響で大きく落ち込みました。 後半は徐々に回復基調にあるものの、物価上昇により実質的な支出が多くなり、個人が景気回復を実感できない状況が続きました。 そうした中、12月に安倍政権の経済政策「アベノミクス」の継続を問う選挙が実施され、与党圧勝という結果に終わり、新たな経済対策が期待されるところであります。 「アベノミクス」が目指す日本経済のデフレ脱却を確かなものにするために、今年は経済の主役である我々民間事業者の頑張りが今まで以上に求められる年になると考えています。

 当社を取り巻く環境をみますと、不動産仲介マーケットにおいては、物件価格上昇の期待感から売却情報は減少し、購入検討者は不動産の購入に慎重な姿勢がうかがえます。 また、駐車場マーケットにおいても消費増税後の景気状況を反映して利用客総数の減少などが見られ、何れも楽観できない状況にあり、一層の工夫と実行が必要であると認識しております。

 当社の事業基盤は、最終的には「ブランド」と「人材」です。 中でもフィービジネスの営業現場で力を発揮するのは「人材」そのものです。 サービス品質向上やコンプライアンスに注力して顧客評価を高めて「お客様がリピート・リコメンドしていただける会社」となるべく、会社発展を見据えた事業構造改革と将来を担う人材育成に引き続き力を入れていきます。

 今年の干支「乙未(きのとひつじ)」の「乙」は、草木の芽が曲がりくねっている象形文字であり、いかに抵抗力が強くてもそれに屈せず弾力的に雄々しく進んでいくことを意味し、「未」は、木の上層に枝葉が繁茂し暗くなっている状況を表しているそうです。 行く先に「生い茂っている」不動産流通の旧習や古い常識を打破し、“新しい不動産流通の創出”、“新しい会社への改革”を力強く推し進めてまいる所存です。


■三菱地所レジデンス(株)取締役社長 小野真路氏

 2014年のマンション市場は、総じて堅調に推移し、当社においても5千戸超の販売戸数を供給した。

 一方で、建築工事費の上昇は、業界としても大きな課題となっており、当社でもゼネコンとの協働による新工法の開発等を進め、一定の効果は出ているが、今後更なる削減策を打ち出していく必要があると考えている。

 2015年度が2年目にあたる三菱地所グループの中期経営計画では、「バリューチェーンの強化」によるグループとしての成長を目指している。昨年は、マンション管理事業を強化するため、管理会社の再編を行ったが、これまでの分譲ストック・お客様との関係を活かしたリノベーション事業や入居者様や契約者様を対象とした会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」などのサービスにも注力していきたい。

 「乙未」年の漢字には、これから生い茂ろうとしている枝を伸ばしていくという意味があり、当社もマーケットを注視し、機動的に判断・対応して成長していかなければならない。良好立地に良質な住まいを提供する、という基本に立ち、「ザ・パークハウス」の供給・サービスの提供を通じて、お客様からの評価向上に意を注ぎ、引き続き、魅力的なまちづくりに貢献していきたい。


■大和ハウス工業(株)代表取締役社長 大野直竹氏

 昨年はアベノミクス効果や日本銀行の追加金融緩和等の機動的政策により、景気回復の足がかりとなる年でしたが、その一方で雪害や豪雨など、多くの自然災害に見舞われた年でもありました。また、業界的には消費税増税や再生可能エネルギー買取制度の見直し等の影響を受け、何かと厳しい一年でしたが、当社グループは役職員全員の頑張りにより、過去最高の業績を達成することができました。これは、厳しい環境下にあっても、創業以来培ってきたパイオニア精神のもと、皆さんが何事にもチャレンジしてきたことによるものです。これからも各事業・各エリアで業界ナンバー1を奪取するべく、失敗を恐れず積極果敢に挑戦してください。

 本年は当社にとっては創業60周年を迎える節目の年であり、また第4次中期経営計画の最終年度を迎える年でもあります。直近の目標は売上高2兆8,000億円の達成ですが、その先の売上高3兆円の達成も皆さんは通過点と捉え、既存事業の強化はもとより、既存事業に「プラス2の事業」を創出するなど、次のステップへの土台づくりの年にしてください。

 そして、当社グループがこれからも持続的発展と更なる成長を図るため、今一度、原点に立ち返り、世の中に必要とされる商品やサービスの提供とお客様目線に立った商品開発を他社に先んじて取り組んでください。特に当社のコア事業である住宅事業は、他社の後塵を拝しており、不退転の決意を持って改革を進めなければいけません。

 当社はこれまで新事業・新サービスの創出により業界を切り拓いてきました。私たち役職員全員の夢の達成に向けて、現状に甘んじることなく、行動第一主義のもと、常に先の先を読んで前進し続けてください。

 そして、業容が拡大している今が当社グループにとっての最大の危機であることを再認識し、決しておごらず、気を引き締め、謙虚な態度で行動してください。

 最後に、東日本大震災の発生から3年9ヶ月が経ちましたが、未だ多くの方が避難生活を余儀なくされており、復興は道半ばです。大和ハウスグループでは、被災地の早期復興に向けて、本年も継続して復興支援活動を継続します。


■積水ハウス(株)代表取締役社長兼COO 阿部俊則氏

 新年明けましておめでとうございます。

 日銀の追加緩和以降、株式市場も高値を更新するなど、前回の消費増税の反動減の影響は少しずつ和らぎ、住宅受注回復の兆しも見えてきました。また、今年改正された相続税への対策として、都市部を中心に賃貸住宅や二世帯住宅などの需要は引き続き旺盛です。

 昨年11月、当社グループは2016年度までの「2014年度中期経営計画」を発表。「住」に特化した成長戦略を展開し、グループシナジーを強化して「請負型」「ストック型」「開発型」の3つのビジネスの成長を目指しています。

 成長のキーワードは「環境(エネルギー)」「ストック」「超高齢社会」です。より環境性能や付加価値の高い住宅提案を通じて、これらの社会課題を解決していくことは、当社の使命だと考えています。

 「環境」においては、当社戸建住宅の約60%にまで普及したゼロエネルギー住宅「グリーンファースト ゼロ」を、本年は65%とすることを目指します。このことは2020年にゼロエネルギー住宅を標準的な住宅としようとする国の目標を大きく先取りするものです。また、昨年、発売30年を機に刷新を図ったストック価値の高い「イズ・シリーズ」や多世帯住宅に対応する3・4 階建てなどの拡販に努めます。

 「ストック」では、従来のリフォームに加え、大規模なリノベーションやマンションリフォームなどにグループの事業領域の拡大を図り、住宅ストックの有効活用に貢献します。

 「超高齢社会」では、益々ニーズが高まる「サービス付高齢者向け住宅」などの高齢者向けの「プラチナ事業」を積極的に展開し、社会の要請に応えます。

 社会問題化している「空き家」の利活用についても、リノベーションをはじめグループを挙げた提案によって、若い世代を高齢化の進む住宅街に還していく新しいビジネスにもチャレンジします。住宅が社会に果たせる役割はまだまだ沢山あります。住宅トップメーカーとして積極的に先陣を切ってまいります。女性活躍の推進も「ダイバーシティ推進室」設置後、さらに加速していきます。

 価格競争ではなく、お客様満足につながる価値を誠実にお届けし続けながら、新たな領域、新たなステージでの成長を図る飛躍の年にします。


■旭化成ホームズ(株)代表取締役社長  池田英輔氏

 昨年は、消費税引き上げ後の個人消費の大幅な落ち込みを反映し、住宅市場も上期を中心に受注が落ち込む厳しい状況となりました。一方で円安株高傾向や、非常に低い住宅ローン金利、相続税改正など、お客様の住宅取得意欲を喚起する条件も多く、再増税が延期されたことも踏まえて引き続き市場の活性化につとめて参ります。

 当社は常に社会や住まい方の変化を見つめ、都市に求められる住まいのあり方を提案して参りました。特に、今年で40周年を迎える「二世帯住宅」については上市以来、それまでなかった都市における新たな同居スタイルとして世の中から評価され、今日では広く一般に普及するに至りました。家族が集い、豊かに暮らしながら次世代に引き継ぐ事が出来る「二世帯住宅」は、近年加速を続ける高齢化・少子化など社会構造の変化や時代の要請にこたえるものと信じ、積極的にご提案をしてゆきたいと思います。今後も当社は「都市の住まい」にこだわり、都市における安全・安心で心豊かな暮らしを実現することで、「一人でも多くのお客様に一日でも早く快適な生活をお届けする」ために、弛まぬ努力を続けて参ります。


■三井ホーム(株)代表取締役社長 市川俊英氏

 昨年の我が国経済は、日本銀行の金融緩和策や政府の各種景気刺激策等を背景に、企業業績や雇用の改善等が見られたものの、4月の消費税増税による個人消費の落ち込みは想定以上となり、消費税10%への引き上げは先送りとなりました。

 住宅業界においても、消費税増税は駆け込み需要の反動減にはじまり、税負担そのものの痛税感による住宅取得者のマインドの冷え込みを生じさせる結果となり、持家を中心に長期にわたる厳しい市場環境となっています。平成27年の市場環境は引き続き厳しい状況が予想されますが、昨年末以降、住宅関連の各種経済対策や税制上の住宅取得促進策等が検討されており、これら諸施策の機動的発動がなされれば、史上最低水準の低金利とも相まって住宅取得意欲の回復につながるものと期待しています。

 昨年当社は創立40周年を迎えることができました。その節目の年に、基本構造「2×6(ツーバイシックス)ウォール」の標準化や、高効率健康空調システム「NEWスマートブリーズ」の開発、これまで培ったオーダーメイドの住まいづくりのノウハウを結集した「セレクトオーダー200」の発売など、新たな取り組みを活発化させてきました。10月には米国カリフォルニア州に新会社を設立し、海外事業領域の拡大を図りました。

 今年もこれまで以上に、健康・快適でスマートな住まいづくりを訴求し、強みである「デザイン力」を生かして、お客様の夢や希望を具現化した「強く」「快適」で「美しい」オーダーメイドの住まいづくりに邁進する所存です。お客様一人ひとりと真摯に向き合い、理想の家をカタチにしていく。そして、三井ホームの家に住むことがお客様の“誇り”と“喜び”になる。そう感じていただける住まいを提供し続けることで、お客様に選ばれる住宅メーカーとして成長してまいります。

 皆さまのご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。


■トヨタホーム 取締役社長 山科 忠氏

 2015年の住宅市場は昨年同様、厳しい環境が続くと予想されております。そうした中、トヨタホームはこれまで以上に高品質の商品とサービスをスピーディーにご提供し、お客様のご要望、ご期待にお応えしてまいります。

 トヨタホームには高い品質による「建てる時の安心」があり、充実したアフターサービスによって「建てた後も安心」していただきます。さらにトヨタグループの住宅会社としてお客様の暮らしを「支える安心」があります。

 2015年は働く女性にとって暮らしやすい住まい、親子の絆が深まるような住まい、ユニット工法を活かしたトヨタホームならでは大空間の住まいを“安心”とともにお客様へお届けする所存です。

 一方でトヨタホームの“安心”を高い満足度とともにお客様にお届けするには、私たちが高い意識をもって仕事に向かわねばなりません。社員一人ひとりがブランドビジョン“Sincerely for You ~人生をごいっしょに。~”を片時も忘れることなく、高品質の商品とサービスをご提供できるよう、TQM活動などを通じ人材の育成を進めます。

 私たちはトヨタホームならば安心と思っていただけるお客様を一人でも増やしたいと考えております。そして、お客様第一の思いをぶれることなく持ち続け、よりよい住まいづくりに取り組んでまいる所存です。


■ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏

 住宅市場は消費税8%の影響を強く受けており、10%への再増税も2017年4月まで延期され、本年の消費者動向は様子見といった状態が続きそうです。こうした景気の踊り場となる本年は、次の成長に向かって根本的体力をしっかりとつけることが必要です。

 業務の川上、川下の関連を俯瞰的に再確認した上で、従来の方法を単に繰り返すのではなく、大事な所や良い所は残し、悪い所は切り捨て作り直すアクションをしてまいります。その結果、次々と体質強化策を打ち出し、業務の再構築を図り、生産性の向上を目指してまいります。

 また、当社を取り巻く外部環境は、上野東京ラインの3月開業や2017年度を完成予定とする外環自動車道による、千葉方面へのアクセス向上など、当社の事業エリアにとってもプラスに働く要素があります。本年はこれらの環境も活用し、新たな業務にも積極的にチャレンジし、付加価値の高い技術・サービスの提供とお客様の価値観に対応した商品開発や生活提案を推進し、より強い企業体質を構築してまいります。


■(株)LIXIL住宅研究所 代表取締役社長 今 城幸氏

 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、心新たに新年を迎えられたことと存じます。年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。

 昨年の住宅業界は、4月に導入された消費税8%の駆け込み需要の影響により、2013年10月以降市場全体が冷え込んでいるのが現状です。また、消費税10%の導入についても、多少の駆け込み需要が発生し、足元の景気は回復するものと考えておりましたが、1年半の延期が決定し、今後の景況予測がさらに難しくなったと考えます。

 一方で、2015年は、住宅エコポイントの復活や住宅ローン減税の継続など住宅需要の下支えとなる施策が予定されており需要回復を期待しています。さらに、消費税10%導入の際に住宅取得を軽減税率の対象にすべく、再度働きかけを強化していくことも重要です。

 昨年、当社では住宅業界が抱えている課題を整理し、この課題を解決するための戦略として、「ワンストップハウジング戦略」を掲げて取り組みました。

 新築住宅への対応強化はもちろんのこと、新築事業で培ったスキルを活用した独自のリフォームソリューションを実施し、顧客接点を増やす活動を進めてきました。昨年10月以降は、さらに販促活動を強化し、子どもたちに大人気のキャラクターとコラボするなど、住宅購入検討層へ積極的にアプローチし、変化の激しい住宅業界を勝ち抜いていくためのさまざまな施策に取り組みました。

 お客様が着実に増えつつある、という成果も出てきており、我々の諸施策は、市場および消費者に対し、正しい方向に向いているものと考えます。

 また、2015年は阪神淡路大震災から20年を迎えます。この間、東日本大震災などの大地震や大型台風の襲来など、自然災害の脅威はますます身近なものになっており、当社がグッドデザイン賞を受賞した「住まいのレジリエンス化(強靭化)」は、時代のニーズに合致していると確信しています。
 
 これらを踏まえ、本年も引き続き、社会・市場・お客様の変化に柔軟に対応し、積極的に新たなチャレンジをおこなっていきます。新築・リフォーム事業を核とした「ワンストップハウジング」を柱とし、将来の成長に向け「攻める」気持ちを持って取り組んでいく所存です。

 2015年は、お客様の層を広げる活動をこれまで以上に積極的に展開していきます。新築・リフォーム問わず、お客様へ「住まい」だけでなく、「暮らし」も含めたトータル提案サービスの拡大を図り、一人でも多くのお客様に我々の商品やサービスをご提供し、「豊かで快適な住生活をお届けする」ことを目指し、また、時代の先端を見据え、新たな商品、サービスを創造し、グッドデザイン賞など第三者評価を継続して受けられるよう、従業員、加盟店社員の皆様ご一緒に、全力で取り組んでいきましょう。

 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


■サンフロンティア不動産(株)代表取締役社長 堀口智顕氏

 明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 本年は、日本経済のデフレ脱却に向けた政府・日銀の経済政策が一段と加速し、景気回復の実感が広がる一年となることが期待されております。また不動産市場においても、堅調なオフィス需要が⾒込まれ、良好な資⾦調達環境に加え、為替の円安基調も相まって、JREITや海外投資家による都心の不動産への投資意欲が更なる⾼まりを⾒せるものと予想されます。

 引き続き当社はお客様お一人おひとりに寄り添い、お困りごとの解決に誠実に取り組んでいくことで、お客様から信頼されるパートナーとなることを目指してまいります。そして、サービス・商品の質を磨き⾼め続けていくことで、お客様の物心両面における付加価値創造に貢献していく所存です。

 当社のビジョンであります「世界一お客様に愛され、選んでいただける不動産会社」を目指し、これからも全社一丸となって精一杯取り組んでまいります。

 本年も旧に倍するご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げますとともに、皆様にとりまして、素晴らしい一年となりますことを心より祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。


■さくら事務所(株)代表取締役社長 大西倫加氏

 ストック活用が本格化するいま、弊社事業の柱であるホームインスペクションとマンション共用部診断・コンサルティングはますます伸長すると同時に、市場そのものが形成、活性化されていくタイミングです。

 これから数年、どれだけ生活者に寄り添い、信頼されるサービスを提供できるかが、業界全体にとっての健全な市場発展に影響するでしょう。

 弊社サービスに一層の品質・使いやすさ向上と、高い倫理観・ホスピタリティを備えた人材育成を継続するだけでなく、業界全体の底上げ、雇用の拡大を見据え情報発信していきたいと思います。

 また、激変する市場環境に先駆け、人と不動産のより幸せな関係が加速し、10年後スタンダードになるような新規事業を生み出してまいります。

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お知らせ

2024/4/5

「月刊不動産流通2024年5月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

さまざまな事情を抱える人々が、安定的な生活を送るために、不動産事業者ができることとはなんでしょうか?今回の特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」では、部屋探しのみならず、日々の暮らしの支援まで取り組む事業者を紹介します。