不動産ニュース / 調査・統計データ

2015/2/19

15年オフィスマーケット、賃料は上昇傾向、投資の分散進む/CBRE調査

 シービーアールイー(株)(CBRE)は18日、報道関係者を対象とした「不動産プレスセミナー」を開催した。

 オフィスビル市場について、全国13都市のトレンドを分析。2014年を振り返るとともに、今後のオフィスマーケットの見通しを解説した。

 14年のオフィスマーケットは、13都市すべてで新規需要が前年比プラスとなり、ほぼすべての都市で空室率が低下した。IT企業や金融・保険業、サービス業を中心とする拡張移転や新設などの積極的な移転が、全体の半数以上を占め牽引役となった。企業の設備投資は緩やかな増加傾向にあり、消費税再増税の延期や原油価格の下落が企業業績をさらに押し上げることも期待され、オフィス需要は拡大傾向が続くとみられる。

 東京オフィスマーケットでは、14年末時点ですべて(グレードA、グレードAマイナス、グレードB)のグレードの空室率が約4%と需給が逼迫。特に丸の内・大手町エリアでは、「JPタワー」が埋まったことで、グレードAの空室率が1%台まで低下した。竣工を控えた大型ビルでは、問い合わせが増えており、オーナーが賃料の引き上げを優先。需給ひっ迫を背景に、東京の賃料上昇ペースは今後加速するとみられ、グレードAの想定成約賃料は、16年末までの2年間で17%程度の上昇を予想している。

 大阪では、14年後半に需要がやや足踏みする場面がみられたものの、賃料水準がトップクラスのビル「グランフロント大阪」以外の選択肢が極めて限定的で、空室率は低水準を維持している。15年は大手企業の自社ビルの竣工に伴って約1万坪の築浅で良質な空室が発生する見込みで、これらが旺盛な需要の受け皿となることが期待されている。ただ、グレードAの賃料水準はすでに高水準にあるため、上昇トレンドは16年末までの2年間で3%程度と、緩やかなものにとどまるとした。

 名古屋では、既存のグレートAビルでは空室がほとんどない状況が継続。15年には名駅エリアで2棟の大型ビルが竣工する予定で、名駅エリアへの移転需要が一気に顕在化すると考えられる。一方で、他のエリアでの二次空室の発生が懸念されることから、ビルオーナーは賃料の引き上げにはやや慎重になっている。グレードAの想定成約賃料は、16年末までの2年間で5%程度の上昇を予想している。

 また、その他の地方都市においても、拡張ニーズや立地改善などの積極的な移転需要が堅調。ただし、既存ビルでまとまったスペースがなくなりつつあることや、新規供給の予定がないために需要が潜在化してしまうケースも1部ではみられている。首都圏エリアのほか、札幌、仙台、金沢、広島、高松、福岡でも、賃料は緩やかな上昇が続くと予想している。

 14年の不動産投資総額は、1,000億円超の大型取引が相次いだことにより、4兆7,000億円(前年比3.5%増)となった。

 同社リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保 寛氏は「日本、アジア太平洋地域、欧米の投資家調査では、いずれのエリアも8割以上の人が15年の投資額を据え置くもしくは拡大と答えており、投資意欲は非常に高い。ただ、今後は都心だけでなく地方都市へ、オフィスだけでなくホテルなどにも投資の分散が進む」と述べ、結果として投資額が14年を上回ることは考えにくいとした。

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年5月号
住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/4/5

「月刊不動産流通2024年5月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

さまざまな事情を抱える人々が、安定的な生活を送るために、不動産事業者ができることとはなんでしょうか?今回の特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」では、部屋探しのみならず、日々の暮らしの支援まで取り組む事業者を紹介します。