不動産ニュース / 政策・制度

2015/4/21

所有者・居住者の意識改革が重点。住生活基本計画の見直しスタート/国交省

 国土交通省は21日、第36回「社会資本整備審議会住宅宅地分科会」を開催。住生活基本計画(全国計画)の見直しについて審議を行なった。

 同計画では、社会経済情勢の変化および施策の効果に対する評価を踏まえて、おおむね5年毎に見直すこととされており、今回、2011年3月に閣議決定された現行の計画(計画期間11から20年度)を16年3月を目途に見直す予定。

 今回の分科会では、1・2月の勉強会で挙がった同計画(全国計画)の見直しにあたっての論点(案)を提示、それについて委員より意見交換がなされた。なお、現行計画の成果指標については、個別の論点について論議する段階で、今後の課題などを検討していく予定とした。

 論点(案)では、(1)人の住まい方、(2)住宅供給のあり方、(3)都市・地域のあり方、(4)住宅の意義の再検証、の4つを柱に整理。

 人の住まい方では、多様化する居住ニーズの対応をテーマに、二地域居住や同居・近居、職住近接、DIY賃貸、シェアハウス等など、さまざまな住まいの選択肢の実現や、「子供の成長」「若者の自己実現」「高齢者の安心な暮らし」など、より切り口を絞った住まいの実現などを掲げた。

 住宅供給のあり方については、フローからストック、そしてサービスへをテーマに、「既存住宅ストックの価値の維持・向上と活用」「住宅ストックの質の向上」「賃貸住宅市場における居住者の選択肢の拡大」「住生活関連サービスの充実」をポイントとして挙げた。
 「既存住宅ストックの価値の維持・向上と活用」では、住宅ストックマネジメント・システムの確立として、「住宅の適切な維持管理の促進」「戸建住宅に関する評価手法の改善とその市場への定着」「住宅ストックの流通促進(既存住宅市場の活性化)」「住宅のリフォーム・リノベーション、用途転換、老朽住宅の除却の促進」「空き家の利活用と除却の促進」などを挙げる中、「所有者・居住者の意識・行動改革」を、住宅市場を変えていくための重点課題と位置付けた。
 さらに、「賃貸住宅市場における居住者の選択肢の拡大」では、サービス付き高齢者向け賃貸住宅やDIY型賃貸、シェアハウス、コミュニティ賃貸といった多様化する居住ニーズへの対応や、賃貸住宅に関する情報提供の充実などを課題として挙げている。
 また、「住生活関連サービス」としては、持続可能な住宅をサポートする産業の充実を掲げており、インスペクションや維持管理、瑕疵保険などの循環型生活関連サービスほか、リバースモーゲージやリフォーム一体型ローンなど金融商品の充実にも焦点をあてていく。

 都市・地域のあり方では、地域の価値向上と豊かで持続的なコミュニティの形成をテーマに、多世代循環型居住、外国人居住、マンションを核にしたコミュニティなど、新しいコミュニティづくりや、人と住宅・公共空間をつなぐ「中間領域」(縁側、土間といった場所を指す)の形成、地域における居住者のコミュニティ形成に対する主体性の確立などが挙がっている。

 これら論点について、委員からは「住宅に関しては税制が大きなインセンティブとなるため、税制・金融を含め論議すべき」「空き家対策をより明確に、同時に考えるべきであり、使えるものと使えないものを区別し、使えないものを除却していくという発想も重要」「スマートウェルネス住宅で健康が向上したなど、具体的に成果が見える形で提示していく方法を考えないと普及は難しい」といった指摘がなされた。

 今後は月1回程度分科会を開催、計画見直しに向けての主要論点などを整理、目標改定の方方向性を固めた上で、7~9月に主要論点や目標、基本的な施策や成果指標の見直しについて論議し、10月を目途に改定案を作成。パブリックコメント・都道府県意見照会を経て、16年3月の閣議決定を目指す。

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