不動産ニュース / 政策・制度

2016/4/1

賃貸住宅管理業者登録制度、「法制化」議論は継続/国交省検討委員会がとりまとめ

 国土交通省はこのほど、「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」(座長:明海大学不動産学部長・中城康彦氏)のとりまとめを公表した。

 同会は、2011年12月に施行された賃貸住宅管理業者登録制度をめぐる課題を整理し、制度の普及促進のために必要な改善策を取りまとめ、今後の制度のあり方について検討し、必要な論点整理を行なうことを目的に、15年10月に設置。これまで、3回の会合を開いていた。

 とりまとめでは、同制度について「業務上のルールを定めることによる登録業者の業務の適正な運営の確保」「情報開示により消費者が適正な管理業者や賃貸住宅を選択できる」「管理業務ルールの普及により、賃貸住宅管理業の健全な発達を図る」などの点で評価する一方で、「管理業務処理準則の遵守状況は十分とは言い難い」「登録制度の貸主・借主への認知度が低い」「登録業者が一部にとどまり、管理に関する苦情・相談件数は依然高水準」といった課題を指摘した。

 その上で、これらの課題を解消するための制度・運用の見直しを(1)貸主・借主による登録制度の活用推進、(2)管理業者の登録の推進、(3)適切な管理業務の普及のために必要なルールの見直し、に分け提案した。

 (1)では、賃貸住宅の媒介時に、管理業者の登録有無を位置付ける、同省ホームページでの開示情報の充実などを提案。不動産ポータルサイトを含む物件広告やレインズにおける管理業者情報の掲載についても引き続き検討を進めるべきとした。(2)では、管理等状況報告内容の簡素化や登録申請手続きのサポートなどを提案。(3)では、貸主への重要事項説明等を賃貸不動産経営管理士など一定の資格者が行なうよう、登録規定や業務処理準則を改正する、トラブルの多いサブリースの借り上げ家賃等を含む貸主への重要事項説明の徹底を図ることなどを提案し、重要事項説明や日常管理業務における資格者の活用のあり方や、サブリースにおける「家賃保証」等のリスク説明についてのルール整備などを継続して検討すべきとした。

 また、業界団体から賃貸不動産経営管理士の国家資格化とともに強く要望されていた「賃貸住宅管理業者登録制度の法制化」については、これまでの会合の中で、法制化を必要性を訴える意見が出る一方、「管理業務の標準化を進めた上で、法制化の必要性を含めた管理適正化の議論をしていくべき」「現行の登録制度の趣旨や性格を踏まえると、そのまま規制法に置き換えるのは適当でない」といった意見が出たことを指摘。「その必要性はもとより、管理業者に治する規制のあり方、その他法制度に位置付けられるべき措置等について、更に幅広く議論を深めていくことが必要」と、今後の登録制度のあり方についての検討を継続していくべきとしている。

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