不動産ニュース / 開発・分譲

2016/4/12

大阪・鶴見に日本初の「木造4階建て」特別養護老人ホーム/まんてん

特別養護老人ホーム「らんまん鶴見」外観。施設の圧迫感をなくすため、低層戸建住宅調のデザイン
特別養護老人ホーム「らんまん鶴見」外観。施設の圧迫感をなくすため、低層戸建住宅調のデザイン
共同生活室。相部屋での介護が中心の一般的な特別養護老人ホームと違い、個室を中心にしながら、入居者が家族のように共同生活する「ユニットケア」を採用。入居者の顔色が明るく見え、心理的にも落ち着く赤みのあるカラーリングを多用している
共同生活室。相部屋での介護が中心の一般的な特別養護老人ホームと違い、個室を中心にしながら、入居者が家族のように共同生活する「ユニットケア」を採用。入居者の顔色が明るく見え、心理的にも落ち着く赤みのあるカラーリングを多用している
個室は「住まい」を意識できるよう、室内では靴を履かず素足で生活するスタイル。入口にはのれんがかけられ、共同生活室と相互に雰囲気が感じられるようにしてある
個室は「住まい」を意識できるよう、室内では靴を履かず素足で生活するスタイル。入口にはのれんがかけられ、共同生活室と相互に雰囲気が感じられるようにしてある
フロアごとにカラー・デザインテーマを変え、入居者が自分の住まいのフロアを認識できるようにしている。エレベータホールは、「住まいの玄関」に見立てており、デザインピクチャーと花台が置かれている
フロアごとにカラー・デザインテーマを変え、入居者が自分の住まいのフロアを認識できるようにしている。エレベータホールは、「住まいの玄関」に見立てており、デザインピクチャーと花台が置かれている

 滋賀県や大阪市で高齢者施設4施設を展開する社会福祉法人まんてん(滋賀県長浜市、理事長:山田一之氏)は、特別養護老人ホーム「らんまん鶴見」(大阪市鶴見区、全42室+ショートステイ6室)を竣工。入居を開始した。

 同施設は、大阪市営地下鉄鶴見緑地線「今福鶴見」駅徒歩10分に立地。敷地面積約930平方メートル。建物は、耐火構造の木造ツーバイフォー4階建てで、延床面積約2,200平方メートル。木造4階建ての特別養護老人ホームは、全国で初となる。総工費は約6億円。

 一般的な相部屋での介護ではなく、入居者を10人単位のユニットとし、個々に居室を与えつつ、ユニット全体を「家族」と見立て共同生活していく「ユニットケア」を導入している。

 全体コンセプトと外観&インテリアコーディネートを、高齢者住宅・施設のインテリア設計を数多く手掛ける(株)町田ひろ子アカデミーが監修。外観は、施設の圧迫感をなくすため、低層戸建住宅調にデザイン。住宅と同様に玄関で靴を脱ぐ生活スタイルを採用。各フロアのエレベーターホールを「玄関」に見立て、共同生活室(リビング)を中心に個室を配し、共同生活と個人のプライバシーとを両立している。天井も戸建住宅並みの高さに抑え、柱・梁類を隠し、個別照明の採用、スイッチ類も一般住宅と同じものを使うなど、施設色を極力排し、住まいの雰囲気を出している。

 フロアごとにカラー・デザインテーマを変え、入居者が自分の住まいのフロアを認識できるようにしているほか、入居者心理を落ち着かせ、働くスタッフの労働環境も良くするという試み(色彩心理)を全面的に取り入れている。

 11日会見した同法人理事長の山田一之氏は「木造2×4の高齢者施設は2ヵ所目となる。気密性が高く、騒音が気にならない、何より木のぬくもりが感じられることがいい。今回は木造4階建てという特別養護老人ホームとしては日本初の試みで、設計上の制約も多く、建築費の高騰にも悩まされたが、最終的に当初予想より2割ほど安く完成させることができた」と話した。

 また、プロジェクト全体を監修した町田ひろ子氏は「一般的にこうした施設は、内外装が白一色で冷たい感じがするもの。施設的に見せない色使いやデザインで、入居者がこれまで住んでいた住まい、やわらかく温かい空間を創り出している。赤みの強い色彩を多用しているのは、入居者の顔色をよくするため。やさしく温かみのある明るい室内は、そこで働くスタッフの労働環境を整える意味でも重要だ」と、デザイン・カラーリングコンセプトの狙いを話した。

 同施設は、現在約半数の入居者が入居済みで、4月中に満室稼働する見込み。

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