2014/04/24 18:00更新
ネットでの重説、書面交付の可能性を検討。5月から実証実験/国交省が検討会

 国土交通省は「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を設置。24日に初会合を開いた。


 政府が昨年12月に策定した「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」で、インターネット等を利用した対面以外の方法での重要事項説明について、具体的な手法や課題等の検討に着手するよう打ち出されたことから、不動産取引契約時の書面の電磁的方法による交付の可能性も併せ検討する場として設けたもの。

 会合の冒頭で挨拶した国土交通省土地・建設産業局長の毛利信二氏は「重要事項説明や書面の交付がITを介してできれば、消費者の移動負担軽減や時間の短縮という大きなメリットになる。取引の安全安心に留意しながら、誰もが安心して使えるITの活用法について忌憚のない意見をいただきたい」と語った。


 検討会座長には、日本大学経済学部教授の中川雅之氏が就任。その他、不動産流通業界団体、不動産適正取引推進機構、消費者団体、また政府に不動産のインターネット取引のための規制緩和を強く求めている(一社)新経済連盟などからの14名の委員で構成する。


 同会合では、国土交通省不動産業課から、不動産取引に際しての重要事項説明と書面交付制度の概要が説明され、取引の安全確保に一定の役目を持っていること、不動産取引のトラブルの約4割が重要事項説明に関するものであることなどが報告された。


 その上で、宅建主任者によるITを介した重要事項説明、電子署名など電磁的方法による書面交付について5月にも実証実験を行ない、消費者の分かり易さ、なりすましや改ざんなどに対するリスク管理等について検証するとした。実験は、Skypeを使い、重要事項書や宅建主任者証の提示などが上手くいくかも検証する。


 これらについて、委員からは「トラブル増加の心配よりも、消費者の利便性向上の効果のほうが大きい。ITを介した説明が対面に劣ることはない」「今の重要事項説明を単純に電子化するのではなく、非効率な部分も一緒に見直していくべき」という肯定的な意見と、「賃貸の場合、借りる人に会わないで貸すなど怖くてできない。電子化すればトラブルは増加する」「電子化のメリットを具体的に知りたい」「重要事項説明はただ読んでもらえばいいのではなく、説明して理解してもらうことが重要。あえて、対面というアナログな方式を残している意味はそこにある」など、電子化に係るリスクへを懸念する意見も数多く出た。


 検討会は、実証実験の結果と委員からの意見等を踏まえ、6月中に中間とりまとめを実施。12月中に最終とりまとめを行なう方針。




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