2016/07/01 18:00更新
「平成28年 路線価」、団体・企業トップがコメント

 国税庁が1日発表した「平成28年分 路線価」について、業界団体・企業のトップから、以下のようなコメントが発表された(順不同)。


(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏

(公社)全日本不動産協会 理事長 原嶋和利氏

(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏

三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏

三菱地所(株)取締役社長 杉山 博孝


◆(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏


 平成28年の路線価は、昨年と比較すると最高路線価が上昇及び横ばいの都市が増え、下落した都市は昨年の12都市から5都市と大幅に減少した。また、都道府県別の状況をみると、上昇した都道府県が昨年比4増の14となり、昨年まで下落していた全国の平均値も本年はわずかながらではあるが上昇し、地価公示に続く良好な結果となったことは、地価の安定的な推移を示すものと評価している。


 市場動向調査を行っている本会不動産総合研究所でも、景気回復基調の継続や超低金利の影響から不動産価格の上昇基調を実感しているが、他方、地域間格差が鮮明になっているとも分析している。


 また、英国のEU離脱問題等、世界経済と国際金融市場に不透明感が増していることは大きな懸念材料である。「リーマン危機」の再来とならぬよう政府の経済政策に期待すると共に、本会としても、足元の堅調な不動産流通市場を継続的なものにすべく、インスペクション・瑕疵保険制度の普及啓発や創設された税制措置等による空家等の利活用を着実に実施することで、既存住宅流通市場活性化に鋭意取組んでいく。




◆(公社)全日本不動産協会 理事長 原嶋和利氏


 平成28年の土地路線価をみると、全国平均では前年を0.2%上回り、8年ぶりに上昇に転じる結果となった。


 地域別では、東京、大阪、名古屋の大都市圏に加え、札幌、広島、福岡などの地方都市も上昇に転じている。


 主な要因は、大都市圏のみならず、地方中枢都市においても、金融緩和措置による不動産投資が拡大したことや、観光により来日する外国人の増加を見込んだホテルや商業施設の用地需要が堅調なことも背景にあるとみられるが、最近の円高基調の進行や人口減少等の影響によって、地方都市に波及してきた上昇傾向が今後も持続性のあるものとなるかどうか、その推移を見守る必要がありそうだ。




◆(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏


 今回発表された路線価では、標準宅地の評価基準額の全国平均が上昇に転じ、我が国経済が緩やかに回復する中、三大都市圏を中心とした地価の回復傾向が持続していると評価している。


 英国のEU離脱が決まり、世界経済の先行きにも不透明感が漂う中、少子化・高齢化を伴う人口減少等、山積する諸課題に立ち向かいながら、こうした地価の回復の動きをより確実なものとし、デフレ脱却をさらに進め持続的な経済成長を実現するためには、国内投資を促進し、企業の生産性を向上させる成長戦略の強力な推進が不可欠だ。



 我々としても、2020年の東京五輪やその先も見据え、経済成長の重要な原動力である都市の国際競争力の向上や良質な住宅ストックの形成を通じ、一億総活躍社会を実現するまちづくりに貢献して参りたい。




◆三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏


 平成28年の路線価では、昨年に引き続き三大都市圏を中心として上昇基調を維持し、また、全国の標準宅地平均値は、昨年までの下落に変わって、本年はわずかながら上昇に転じている。


 首都圏のマンション市況については、供給量の前年割れが続いているものの、雇用・所得の改善や低金利が続いていることなどから、都心・湾岸物件を中心に引き続き好調に推移しているが、郊外部では、価格上昇もあって物件によっては販売に時間を要するものも出てきており、今後の動向を注視している。

 オフィスビルについては、企業業績の向上により、オフィスの増床や拡張移転等の動きが引き続き活発で、東京都心における募集賃料の上昇が継続し、また地方都市においてもテナント需要が拡大し、空室率の改善傾向が続いている。今後もBCP意識の高まりや優れた人材確保への動きもあり、防災・省エネ対策や利便性に優れたビルへの需要の拡大が続くとみている。

 不動産投資市場においては、オフィス賃料上昇等を背景として、海外勢を含む投資家等の意欲が引き続き高く、企業の不動産取引はリーマンショック以前の高い水準となっている。

 ただし、足元では英国のEU離脱に向けた動きや地政学的リスクなど、世界経済全体として不確実性が高まっており、今後国内の景況感や企業業績、不動産市場へ及ぼす影響については十分留意していく必要があると考えている。


 当社グループにおいては、顧客のニーズを的確に捉え、新たな需要を創造しながら、東京そして日本各地において、その地域の特性を活かした魅力ある「街づくり」を進め、日本経済の確実な再生に一層貢献していきたい。




◆三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏


 平成28年の路線価は、全国25都市で最高路線価が上昇したほか、標準宅地の評価基準額の全国平均が上昇に転じ、地価の回復傾向が持続していると感じている。

 当社オフィスビル事業においても、統合・集約、BCP対応、立地改善等、事務所の拡張・移転需要の顕在化により昨年に続き、空室率が低下し賃料の改善が見られる。

 2016年3月末時点の東京・丸の内における事務所空室率は1.37%と低水準で、賃料についても空室率の改善を受け、引き続き上昇傾向が継続している。

 本年4月に竣工した「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ」はほぼ満室となっており、2017年1月竣工予定の「大手町パークビル」や2018年秋竣工予定の「(仮称)丸の内3-2計画」も多くの引き合いを受けている。


 訪日外国人を含む消費活動は順調に推移しており、当社グループが運営する商業施設の売上は、引き続き好調である。

 当社グループで運営するホテルでは旺盛な需要を受け、2016年3月末時点で全施設平均約10%(前年比)の客室単価上昇となり、引き続き好環境が継続している。


 住宅事業においては、歴史的な低金利、各種優遇施策の実施、シニア層の買換や共稼ぎ世代の都心居住ニーズ等、需要は引き続き堅調に推移しており、都心部では本年4月下旬に発売を開始した「ザ・パークハウス 新宿御苑」も第一期即日登録申込完売し、完売間近である。

 また優良な資産形成や都心への良好アクセス立地での自己居住・セカンドハウス等のニーズに対し、本年6月より資産形成用のコンパクトマンション事業「ザ・パークワンズ」を開始した。


 マイナス金利が続くなか、利回りへの期待感から、REITへの投資活動も活発であるが、対象物件の供給が不足する傾向にある。




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