2016/08/30 18:00更新
熊本地震2ヵ月後の熊本市、ビル空室率は大幅下落し1.79%/三幸エステート調査

 三幸エステート(株)は30日、独自調査に基づき算出した「平成28年熊本地震前後の空室率変化」について発表した。調査対象は熊本市内に所在するオフィスビル(全規模)53棟。


 4月の地震発生から約2ヵ月が経過した熊本市の6月の空室率は1.79%。地震発生直前(4月初旬)の7.79%と比較して6ポイントのマイナスとなり、1%台に低下した。満室ビルは、地震発生直前の19棟から40棟へと大幅に増加。調査対象53棟の約4分の3を占めている。九州内における空室率の比較では、福岡市(全規模ビル)の5.26%を大きく下回った。全国的に見ても空室率1%台を記録しているエリアは少なく、需給関係が極めて逼迫している東京都渋谷区(全規模ビル)の1.80%と同水準に達している。


 復興関連需要で空室床が大量に消化されたことに加え、被災して貸し止めとなるビルも少なからずあったことで、空室率が大幅に低下した。また、被災したテナントが熊本市から転出するケースは少なく、大半は熊本市内でオフィスを確保していることも、空室率低下の要因として挙げられる。


 東日本大震災前後の仙台市(全規模ビル)の空室率を見ると、震災直前の2011年2月は20.12%であったが、震災から2ヵ月が経過した11年5月は16.52%と、3.6ポイント低下している。仙台市の場合、空室率の低下幅は熊本市を下回るが、現空室面積の減少幅は熊本市の2,824坪を大きく上回る1万9,021坪に達している。マーケットの規模が異なるため単純比較は難しいが、両市とも復興関連需要が空室床を大量に吸収した点は共通している。


 駐車場については、機械式駐車場の復旧が遅れていることや、「熊本交通センター再開発」工事関連で月極駐車場がすでに押さえられていることなどから、オフィス以上に確保が困難。市内中心部では月極駐車場が少なく、コインパーキングを利用するケースが多いという。


 なお、6月から8月にかけては、熊本市の空室率は1.17ポイント上昇。同社は、地震直後に一時的に短期賃借したテナントによる解約の影響と推測する。満室ビルは36棟とやや減少しているが、地震直前との比較では高水準を維持している。


 今後のオフィスマーケットの展望について同社では、新規供給予定はオフィス用途フロアの賃貸面積が合計1,000坪を下回る「下通NSビル」(17年3月竣工予定)のみであることから、空室率は低い水準でしばらく推移すると予想している。




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