2017/03/27 18:00更新
空き家活用、課題は情報不足/JARES

パネルディスカッションの様子


 (公社)日本不動産学会(JARES)は24日、政策シンポジウム「空き家・空き地の有効活用に向けて」を開催した。


 日本大学経済学部教授の中川雅之氏が「空地・空家のメカニズム」と題し基調講演を行なった。都市に住むことの価値が都市に住むコストを上回れば、居住者の死亡等のショックな出来事が発生したとしてもその都市の不動産は活用されるが、あまりにも過剰に住宅などが供給されていると、すぐにはその数量は減らせず、その結果、価格が非常に低い状態で調整されると説明。その上で、ある都市に3種類の不動産が存在すると仮定し、人口減少などによりその不動産の価格が半減した場合、どのように空き家や空き地が発生していくのかをシミュレーションで示した。また、このようにして発生した空き家・空き地については「需要を拡大すること、都市を縮めること、居住者とのマッチングの確立を高めること、といった対応が必要になってくる」(中川氏)とした。


 また、松戸市や名張市などの自治体における取り組み状況の報告後、「空き家・空き地の効果的な利活用のために何が必要か」をテーマにパネルディスカッションも実施。中川氏をコーディネーターに、東京都市大学環境学部教授の室田昌子氏、(一社)全国空き家相談士協会会長の林 直清氏、松戸市や名張市の行政の担当者、民間事業者などが登壇し、空き家、空き地に対して民間では何ができ、行政側に何を求めるのか、行政の役割は何か、等について議論した。


 パネリストからは「所有者に空き家利活用の方法の情報をどのようにを発信したらよいのか」「所有者不明の空き家・空き地の情報をどのように得たらよいのか」といった課題のほか、「個人情報の壁が高い中、地域の自治会を巻き込むことで内々の情報が共有できる」など地域の人々と共同で取り組む必要性なども挙げられた。



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