2018/09/21 18:00更新
所有者不明土地、3課題について意見交換

 国土交通省は12日、第4回国土審議会土地政策分科会特別部会(部会長:早稲田大学大学院法務研究科教授・山野目 章夫氏)を開催した。


 同部会では、2017年9月より「所有者不明土地」(不動産登記簿等の所有者台帳により所有者が直ちに判明しない、または判明しても連絡がつかない土地)の円滑な利用に向けた検討を行ない、同年12月に中間とりまとめを発表。これを踏まえて18年6月に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」が成立した。第4回は、残る重要な課題である所有者不明土地の発生抑制・解消に向けて、人口減少社会における土地制度のあり方について検討を行なった。


 はじめに事務局が、(1)所有者不明土地を利用しようとする際に、所有者の探索や制度の活用に多大な労力・時間を要する、(2)土地が適切に利用・管理されず、周辺に悪影響を与える場合がある、(3)所有意識がない者が相続するなどして、登記簿から直ちに所有者が判明しない、または境界の確定が困難になり、有効に利用したい者が利用できなくなる、という3つの課題が提示された。また、土地所有に関する制度の基本となる土地基本法について、単に所有されている場合についての規律が明確でないため、見直しが必要だとし、利用意向がある所有者不明土地や、過疎地域、管理が求められている土地など課題事例を紹介した。


 参加した委員からは「土地基本法の抜本的見直しが必要」とする意見の他、「これまでは所有権を重視していたが、管理権にウエイトを置いたほうがいいのでは」「土地を手放したいという要請が増えてきているので、所有権放棄の制度を検討する必要があるのでは」などの意見が出された。また、所有者不明土地になるのは、相続が大きな要因だとして、「相続の際に登記を義務化するなど、不明にならないようにする観点が重要」とする意見も出た。


 また、所有者としての在り方については、「所有することへの負担感が増えてしまうと、相続したくないという人が増える。土地の管理の委託や、譲渡できるなどの受け皿を用意するほか、手続きを簡略化したほうがいいのではないか」という意見も。その他「所有者の管理責務どこまで及ぶのか、あるべき姿を明確にして、所有者が責務を果たせる仕組みをつくっていく」、「実際には、管理をやりたくでもできない人が多いのではないか。管理の在り方、託せる仕組み、法規制で切って迫るよりも、いくつかの仕組みを用意したほうがいいのではないか」など、議論が交わされた。


 特別部会では18年9月〜19年2月までに4回程度開催し、制度の具体的な方向性についてとりまとめを行なう予定。



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