2019/02/22 18:00更新
「地面師」対策は「常識」にあり

地面師に操作された被害物件の登記を解説する瀬戸氏


 (一財)不動産適正取引推進機構は21日、(独)住宅金融支援機構すまい・るホール(東京都文京区)で第108回講演会を開催した。


 今回は、「地面師事件の解析と対処」をテーマに、アルティ法律事務所弁護士の瀬戸仲男氏が解説した。同氏は、積水ハウス(株)やアパグループ(株)など不動産のプロが騙される地面師事件が多発する背景について、「グループで行動し、役割分担する」「現地調査や地主情報を集め、予行演習する」といった周到な準備をした上に登記を移転申請するなど、「度胸と演技力があり、死ぬ気で騙してくる。買い主も登記を信頼し、騙されないと意気込んでも、それを想定・超越した行動を取ってくる」(同氏)という、捜査機関ですら手を焼く地面師の知能と努力があるとした。


 こうした地面師の被害に遭わないようにするためには、安易な信頼をせず、仲介業者に調査を任せきりにせず、性悪説にたち納得いくまで自身で調査すべきと指摘。買い主が狙われないためには「一言でいえば、“面倒なうるさいヤツ”と思わせればいい」とし、「良い物件を安く売るわけがないし、土地の売り主が売却を急ぐ理由など基本的にはない。常識的観点を忘れてはいけない」と指摘した。その上で、「短期間で所有権登記が点々と移転している」「所有権移転の日付が新しい物件を気を付ける」といったポイントを解説し「少しでも納得できなければ断る勇気を。取引を進める場合は、できる限りの証拠を残しておき、顔には出さずにプロフェッショナルとして対峙すること」とした。


 また、土地所有者が地面師に狙われないようにするには「不動産の相続登記は早めに行なうこと」「空き地を相続した場合は放置しない」「定期的に物件を見に行き、近所の住人や不動産会社と仲良くなっておく」「定期的に看板を変えるなど、管理をしっかりしている姿勢をみせる」といった工夫を披歴した。



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