2020/01/24 18:00更新
東京オフィス、今後2年間も空室率1%割れを予測

 シービーアールイー(株)(CBRE)は21日、特別レポート「不動産マーケットアウトルック2020」を発表。オフィス、物流施設、リテール、不動産投資のそれぞれのマーケットについて、2019年を振り返りつつ、21年までの見通しをまとめている。


 19年、オフィスはほぼすべての都市で空室率が低下。19年末時点で空室率が1%を下回る見込みの都市は、調査対象13都市のうち8都市(札幌、さいたま、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、福岡)と、過去最多に。ワークプレイス改善を図る企業が多かったこと、老朽化ビルの建て替えに伴う立ち退き移転や不動産価格の上昇を背景に自社ビルを売却し賃貸ビルへ移転するといった増加したことなどを要因として指摘している。
 東京の19年の新規需要はプラス21万坪と新規供給18万坪を上回る見通しで、オールグレードの空室率は通年で0.7%。19年第4四半期の坪当たり賃料は、オールグレードで2万3,110円(前年末比4.1%上昇)となる見通し。
 今後2年間も、オールグレードの空室率が1%を下回る水準が続き、当面は賃料も緩やかに上昇すると予測。ただし、20年後半からは既存ビルの一部で二次空室が発生する可能性が高く、賃料には下げ圧力がかかると予想。21年第4四半期のオールグレード賃料は、前年同期比でわずかに下落すると推測している。


 物流施設は、19年における三大都市圏での大型マルチテナント型の新規需要は100万坪に迫る勢いに。首都圏の坪当たり実質賃料は、19年第4四半期で4,250円(前年同期比2.4%上昇)となり、21年第4四半期までに、さらに2.1%の上昇を予測した。
 近畿圏では21年、過去最高の新規供給が行なわれた17年に匹敵する供給が予定されているが、新興エリアでのテナント誘致が順調で、向こう2年間の空室率は7%台に収まる見通し。中部圏も、21年までの新規供給が2棟にとどまることから、21年末の空室率は4%程度に収まる見込み。賃料は近畿圏、中部圏共に上昇を予測している。


 リテール(銀座ハイストリート:銀座の中でも特に繁華性の高い通り)は前年に続き、ラグジュアリーブランドの出店ニーズは強く、ドラッグストア等、インバウンド需要の取り込みに成功したリテーラーが旺盛な出店ニーズを見せた。19年第3四半期の空室率は2.0%(同0.3ポイント上昇)に。坪当たり賃料は25万8,000円円。昨今、Eコマースの市場拡大に伴い、実店舗の役割として、商品販売よりもショールームとしての機能を重視した出店が増えてきていることから、ショールーム型店舗や出店期間を限定したポップアップストアと呼ばれる出店が増加すると予想している。


 不動産投資は、J-REITを除く国内投資家・海外投資家が投資を牽引し、不動産投資額は19年第1四半期から第3四半期までの累計は2兆4,000億円(同6.5%増)に。景気・政治情勢が比較的安定していることなどから、日本の投資マーケットの優位性は引き続き継続する見込みだが、マーケットサイクルが終盤に差し掛かっていることなどから、20年の投資額は19年比2%程度の増加にとどまる見通し。



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