2020/02/18 18:00更新
地場仲介業景況感、市場全体が弱含み

 不動産情報サービスのアットホーム(株)は18日、「地場の不動産仲介業における景況感調査(2019年10〜12月期)」の結果を発表した。


 北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県(14エリア)において、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。「50」を前年並みとする。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層を対象にインターネットで調査した。調査期間は12月12〜24日。有効回答数は1,640店。


 当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏が44.9(前期比0.4ポイント低下)とほぼ横ばいでの推移。前年同期と比べても、0.5ポイント低下とほぼ同水準をキープした。また、近畿圏の業況DIは43.2(同0.7ポイント低下)と首都圏同様ほぼ横ばい。ただし、前年同期からは4.7ポイント低下している。


 全国14エリア中、前期のDIを下回ったのは8エリア。首都圏では千葉県は45.0(同2.0ポイント上昇)で上昇。近畿圏は京都府44.0(同2.2ポイント低下)が低下し、大阪府42.2(同0.5ポイント低下)と兵庫県44.6(同0.1ポイント低下)ではほぼ横ばいとなった。それ以外の地域では、愛知県が48.5(同3.5ポイント上昇)と、前年並みを示す50に再び近付いた。


 20年1〜3月の見通しDIは、首都圏が46.7、近畿圏が47.6といずれも上向き。エリア別でも11エリアが上昇見通しで、賃貸繁忙期に向けた期待感をにじませた。


 売買仲介の業況DIは、首都圏は39.9(同3.6ポイント低下)で14年10〜12月期以来5年ぶりに40を割り込んだ。前年同期と比べても5.3ポイント低下している。近畿圏は46.4(同1.8ポイント上昇)で下げ止まりの兆しが見えたものの、前年同期比では3.8ポイントの低下で、下向きの傾向が続いている。


 14エリア中8エリアで前期からDIが低下。首都圏では神奈川県(40.7=同1.7ポイント上昇)以外の4エリアでいずれも低下した。近畿圏は大阪府が48.8(同2.0ポイント上昇)で圏域全体のDIを引き上げた。


 見通しDIは首都圏が39.8、近畿圏が44.9で、いずれも10〜12月期の実績よりも低下。慎重な見方が強まっている。


 不動産店からは、「お客さまや同業者からの問い合わせが少ない」(川崎市)、「初期費用の安い物件を求めるお客さまが増えた」(大阪府吹田市)、「入居者ニーズは多様化しているが賃料は伸びない」(神戸市)、「購入希望者がまったく動いていない感じ。希望者も長期で考えている」(埼玉県越谷市)、「空き家が年々増えており、古い住宅の売り物件が増えている」(北海道砂川市)と、ネガティブなコメントが目立った。


 併せて、65歳以上の高齢者の不動産取引に関しても調査。19年に高齢者との取引件数が「増えた」と回答したのは32%、「変わらない」が41%だった。また、高齢者との取引内容について聞くと、「居住用の賃借」が58%で最も多く、次いで「居住用の売却」が48%。こうした取引の目的やきっかけについては、居住用賃借では「立ち退きによる転居」(26%)、「生活保護の住宅扶助額に収まる家賃の物件に転居する」(15%)といったケースが多かった。また、居住用売却では、「相続のための現金化」(33%)などの回答が多かった。



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