2020/02/18 18:00更新
住生活基本計画見直し、「居住者」の論点を議論

 国土交通省は18日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:中井検裕氏・東京工業大学環境・社会理工学院長)の50回目となる会合を開いた。


 今回は、住生活基本計画(全国計画)の見直しに当たっての主な論点のうち「居住者」をテーマに議論した。事務局からは、これまでの勉強会等で示された居住者をめぐるさまざまなデータと委員からの意見を踏まえ、(1)子育て世帯、(2)高齢者世帯、(3)住宅確保要配慮者、(4)地域や多世代と共生した暮らし、(5)新しい住まい方、のそれぞれについての論点が示された。


 (1)では、仕事と子育てを両立するために求められる住まいや住環境、子育て期における住まいの面積の考え方など、(2)は見守りや生活相談など単身高齢者に対する居住支援の在り方、高齢期に適した住宅への早めの改修を進めるために必要な支援について、(3)は多様な住宅確保要配慮者に向けた支援を行なうため、国と地方公共団体、民間団体がどのような連携、役割分担を行なうべきかや、単身高齢者の残置物処分等に関するトラブルを予防し、賃貸人と入居者が安心して賃貸借契約を結べるようにするための方策、(4)は家族機能が希薄化する中で「共生型社会」を実現するために取り組むべきことは何か、(5)は二地域居住や地方移住などの柔軟な暮らし方や住まい方を実現するための対策、サブスクリプション型居住サービスやシェアリングエコノミー、リースバックといった「所有する」「借りる」以外の新たな住まい方や住宅資産の活用方策を住宅政策にどう位置付けるか、などを挙げている。


 これに対し委員からは「出生率と居住面積の因果関係はもう少し掘り下げて検証すべき」「高齢者が元気なうちに自宅の活用や老後の住まいについてマネジメントできる知識を持ってもらうための相談体制が必要」「人々の暮らし方が多様になる中で、世帯というくくりで考えるのは限界があるのでは」「リースバック等の新たなサービスはトラブルも多いと聞く。中身をしっかり検証すべき」「住生活基本計画が、新たな住まい方を“推奨”するのは抵抗がある。エビデンスが必要では」といった意見が出された。


 同会では3月以降、「産業・新技術の視点」と「まちづくりの視点」に論点を移し、勉強会を開く。



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