2020/07/10 18:00更新
「関係人口」の拡大・深化への施策を検討

 国土交通省は10日、「ライフスタイルの多様化と関係人口に関する懇談会」(座長:小田切徳美・明治大学農学部教授)の初会合を開いた。


 2019年度に開催した「ライフスタイルの多様化等に関する懇談会」の議論を踏まえ、関係人口(地域外にあって、移住でも観光でもなく、特定の地域と継続かつ多様な形で関わり、地域の課題解決に資するもの)の実態把握を全国規模で行ない、関係人口と連携・協働する地域づくりのあり方・施策の方向性を検討していく。また、新型コロナウイルスが関係人口に与える影響についても検証していく。
 開催にあたり挨拶した国土政策局長の坂根工博氏は「ライフスタイルの多様化について1年間濃密な議論を行ない、課題を整理することができた。新型コロナウイルスの感染拡大で働き方・住まい方・暮らし方に変化が生じ、これが我が国の東京都心一極集中の是正や多極分散化社会につながると期待されているが、本懇談会ではこうしたマクロ的視点ではなく、地域での取り組みについて議論を深めていきたい」などと抱負を語った。


 会合では、今後議論とするテーマとして「地域づくりにおける関係人口の位置づけ」「地域と関係人口のつながり創出に向けた要素」「地域づくりにおけるシェアリングエコノミーの活用方策」などを挙げた。関係人口の実態把握については、昨年度の調査を踏まえ、二次調査の対象範囲の見直しや、地域とのかかわり方の把握の見直しなどを行なうほか、新型コロナウイルスの感染拡大による関係人口の動態性を踏まえた調査項目の設定の必要性を挙げた。


 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言で移動自粛等が求められたことにより、バーチャルな交流を中心とした「オンライン関係人口」が拡大したと指摘。テレワークや地方志向の拡大等の社会情勢の変化が後押しし、コロナ禍が収束した後も存在感を増していき、地域の内発的発展に関与する関係人口として、都市と地域とをつなげる可能性を示唆した。


 委員からは、オンライン関係人口を生かすための「オンラインファシリテーター」的な人材の育成、地方都市でのITインフラの強化、定住地を持たない「アドレスホッパー」の関係人口における定義、自然災害が多発する中での「避難できる拠点」「心を許せる拠点」の必要性など、今後の議論への意見が寄せられた。


 同懇談会は、9月中旬にも全国規模で関係人口の実態把握に向けたアンケート調査を実施。21年3月めどに議論の取りまとめを行なう。



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