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「ABW」導入で仕事のパフォーマンス向上へ

2019/11/21 18:00更新

会の冒頭に挨拶する、同社取締役社長の渋谷忠彦氏


 三井デザインテック(株)は19日、綱町三井倶楽部(東京都港区)でプレス向けセミナーを開催した。


 会の冒頭挨拶した同社取締役社長の渋谷忠彦氏は、主力事業の一つであるスペースデザイン事業について「都心部で大規模な再開発が進んでいるため、オフィスの移転に伴う受注がいまだに好調だ」とした。


 セミナーでは、「働き方改革を革新させるクロスオーバーデザイン」をテーマに、東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏と、同社企画・マーケティング室長の大川貴史氏が登壇。


 まず、稲水氏が他の研究者と共に実施した「ABW(Activity Based Working)に関する産学協同研究」の調査結果を公表。ABWとは、自分の仕事内容に合わせて最適な環境を選択できる働き方のこと。東京23区100名以上の企業に勤める25〜55歳:3,000名(会社役員・会社員)を対象に、インターネット調査によるデータを基に研究を行なった。


 現在のオフィス環境について、デスクを向かい合わせに一律に配置し、自席が固定された「固定席」、固定席型のレイアウトでフリーアドレス化した「単純フリーアドレス」、自席以外に集中ブースやカフェテリア等を設けた「固定席型ABW」、固定席型ABWと同様の環境だが自席を持たない「ABW」の4つに分類し、社員のパフォーマンス等にどのような効果の違いがあるかを分析した。ABW・固定席型ABWは、固定席、単純フリーアドレスと比較すると、社員のパフォーマンス、モチベーション、クリエイティビティにおいて、いずれも数値が高いことが分かったという。
 調査結果を受け、稲水氏は「他社とのコミュニケーションが必要な時、静かな環境で集中する時と、状況に応じて場所を選べるABWは、社員のクリエイティビティが発揮されやすいのでは」などと述べた。


 次の、社内コミュニケーションをテーマとしたトークセッションで大川氏は、「日本は、いわゆる“空気を読む”文化で、言葉の外にある共通の価値観が重視される。多民族が暮らすアメリカなどは積極的な会話による相互理解が重視されており、曖昧なやり取りがない分、業務効率化につながっている」と述べたが、稲水氏は「私たちが培ってきた文化をなくすのではなく、業務上で必要な時に、積極的にコミュニケーションを図ることが重要」などと返した。