不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

三鬼商事、東京・大阪の10月度「オフィスビル最新状況」発表

 三鬼商事(株)は9日、10月度の東京・大阪のオフィスビル最新状況レポートを発表した。

●東京の最新状況
 東京ビジネス地区の10月末時点の平均空室率は3.59%で、対前月比0.35ポイント増となった。10月は大型ビル新築ビルでは引き合いが強いものの、外資系企業の動きが鈍ってきており、一部ではキャンセルなどの動きも見られ、竣工時に空室を残すケースが出ている。大型既存ビルでも、統廃合に伴う大型の解約予告などの動きが目立っており、ともに空室在庫が増加している。また、経費削減を目的とした移転の動きが増えてきているため、割安感のある大型ビルに引き合いが増えているが、このようなビルの空室には品薄感がある。都心5区のオフィスビル市況は堅調に推移しているが、景気後退の影響がこれから出てくると懸念される。
 なお、港区の平均空室率は4.24%(対前年同月比0.58ポイント増)と再び4%台に上昇した。今年同区は都心5区の中で最も供給量が多く、延床面積約9万坪が供給されている。大型新築ビルへの引き合いは続いているが、外資系企業の動きが低調になっており、検討期間も長引いている。10月には大型ビル3棟が竣工したが、募集面積を少し残した。一方、割安感のある大型既存ビルには活発な引き合いが続き、好条件の空室に成約や入居が進んでいる。

●大阪の最新状況
 大阪ビジネス地区の10月末時点の平均空室率は9.48%(対前月比0.15ポイント増)。10月は新大阪地区で大規模ビル1棟がほぼ満室で稼動したため、新築ビルの空室率が大幅に低下した。一方、既存ビルについては南森町地区で約1,400坪の空室在庫の減少が見られたものの、梅田地区や淀屋橋・本町地区で空室在庫6,400坪が増加したため、空室率が3ヵ月ぶりに上昇した。移転動向に関しては、リストラに伴う集約や統合により、メーカーの自社ビルや工場への引き上げが目立っている。金融機関の統合で、1階部分の空室が出ているが、飲食や物販などの引き合いは多く好調に推移している。その一方で、景気低迷の影響も出始めてきている。
 なお、新大阪地区の平均空室率は11.29%(対前月比▲1.22ポイント)。10月は大阪ビジネス地区で年内最大級の供給である「ニッセイ新大阪ビル(延床面積約3万坪)がほぼ満室で竣工した。一方、既存ビルではリストラに伴う自社ビルへの撤退などの動きが出てきている。同地区では他地区に比べ賃貸相場が安定していたが、前年からの空室在庫の増加に伴い、賃料水準が下がってきている。同地区には築年数の浅い大型ビルが多いため、これから同空室率が徐々に低下してくると期待される。



最新刊のお知らせ

2025年6月号

本業に意外な効果!?不動産事業者のサイドビジネス ご購読はこちら