(社)全国宅地建物取引業協会連合会、(社)日本ビルヂング協会連合会、三菱地所(株)、東京建物(株)の4者は26日、同日国土交通省が発表した「平成14年地価公示」についてのコメントを発表した。
(社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 藤田和夫氏
当会の3月1日時点の「中小不動産業経営動向調査」においても経営上の問題として地価下落がトップに挙げられていたので予測はしていたものの、一向に資産デフレから脱却できない状況に強い危機感を抱いている。
資産デフレ防止には1,400兆円の個人金融資産を流動化させることが急務であるが、そのためには不動産に係る「登録免許税」や「不動産取得税」などの流通税の見直しや、譲渡課税の緩和等の早急な改善を行ない、中古住宅を含めた不動産の流動化を図ることが必須である。
税制を始め流通を阻害している土地住宅施策の早急な見直しを望むとともに、消費者マインドを刺激し、土地住宅需要を喚起するような思い切った施策を期待したい。
(社)日本ビルヂング協会連合会会長 高木丈太郎氏
日本経済再生のためには、地価下落を食い止めることが喫緊の課題である。そのためには極めて過大負担となっている不動産の諸税を大幅に軽減し、バブル期の遺物である抑制的な土地税制を改善して土地の流動化を促進することが求められている。
また、固定資産税は来年が評価替えの年にあたるため、抜本的な見直しが必要であろう。
土地の有効利用と都市再構築のため、具体的な取り組みが必要である。
三菱地所(株)取締役社長 高木 茂氏
商業地については、都心の好条件地への買い意欲は強いが個別性が強まっており、同一エリアでも物件の価格差が広がっている。マーケット全体としては企業がリストラや将来的な減損会計導入をにらんで保有不動産を圧縮する動きがあり、需給関係が緩んでいる。2003年の供給増による賃貸オフィス市場の弱含みを折り込み、収益用不動産の取り引き価格は下落傾向にある。
一方、住宅地については、ディベロッパーがマンション市況の先行きに慎重になっていることから、価格が弱含みになってきている。いずれにしても、負担水準の是正や都市部に偏った負担の不均衡改善を強く望む次第である。
東京建物(株)取締役社長 南 敬介氏
日本経済の長引く不況の根本原因は、資産の収縮に帰因する「バランスシート不況」だ。また、資産デフレ構造から脱却できない元凶が土地保有課税・流動課税等の「土地税制」であることから、「土地税制」の抜本的改革による税負担の思い切った軽減を断行することが急務である。
地価が11年連続して下落し、土地の時価総額が約1,000兆円も失われている状況は異常であり、早く断ち切ることが必要だ。