森ビル(株)は1日、東京23区内で1986年以降に竣工した大規模オフィスビル(延床面積10,000平方メートル以上)を対象とした2001年12月末時点の「東京23区大規模オフィスビル市場動向調査」を発表した。
同調査結果によると、23区内における大規模オフィスビルの供給量推移は、2003年に218万平方メートルの供給量が予想され、調査開始以来最大となる見込み。これは、1986年前後に相次いで競争入札された汐留・品川東口・飯田町などの旧国鉄精算事業団関連用地に立地する大規模プロジェクトが相次いで竣工するためで、前述の3大プロジェクトが同年供給量の44%を占めると思われる。しかしながら、2004年以降の年間供給量は平均水準にとどまる予定である。
エリア別の供給動向では、都心3区(千代田区・中央区・港区)は同調査開始以来縮小を続け、「1994~1997年」では約30%にまで落ち込んでいる。しかしながら、「1998~2001年」では増加に転じ、「2002~2005年」では約80%に迫る勢いとなっており、都心3区への集中的供給は、今後一層明確な傾向となると思われる。
ビル規模別で見てみると、調査開始当時では「大規模オフィスビル」(※1)と「超大規模オフィスビル」(※2)がほぼ同じ割合であったが、その後徐々に「超大規模オフィスビル」の占める割合が増え、「2002~2005年」では「超大規模オフィスビル」が全体の約85%を占める見通しとなっている。ちなみに、これまでにオフィス大量着工をもたらした1990年前後は、大規模オフィスビルに比べて小規模オフィスビルが圧倒的に多かったことが特徴であったが、2000年前後に大規模オフィスビルが小規模オフィスビルを上回る「逆転現象」が生じ、近年の「ビル大型化」傾向が顕著となった。
なお、今後の需要動向としては、2003年の新規供給量218万平方メートルに対して吸収量は192万平方メートルとなり、新規供給の約9割をカバーする需要が創出されると思われる。また、空室率は1994年時の約半分である約4.9%と予測、大規模オフィスストック数がほぼ2倍となるもののインパクトの大きさに違いが生じ総ストックに与えるインパクトは半分となるので、大量供給がもたらす空室率上昇への影響は小さいものと考えられる。
※1…事務所部分の延床面積が1万平方メートル以上3万平方メートル未満
※2…事務所部分の延床面積が3万平方メートル以上