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三鬼商事、東京・大阪の5月度「オフィスビル最新状況」発表

 三鬼商事(株)は7日、2002年5月度の東京・大阪のオフィスビル最新状況レポートを発表した。

【東京】
 東京ビジネス地区の4月末時点の平均空室率は5.41%(対前月比0.16ポイント増)で、8ヵ月連続の増加を記録。また、空室面積は1ヵ月の間で約9,900坪の増加した。しかし、大手企業の解約予告が相次いだ1月~4月に比べると、空室在庫の増加傾向に落ち着きがみえ、増加幅は今年初の10,000坪を割り込む結果となった。空室率については、今後も大型供給に向けた移転計画や自社ビル建設に伴う本社移転が予定されていることから、5%台半ばから後半で推移すると予測される。一方で、良質な大型ビルの空室が増加傾向にあることから、テナント企業にとってはオフィス移転の選択肢が広がり、依然厳しさ感じられるものの潜在需要は多く、景気の改善が進めば、好条件の大型ビルに引き合いが強まってくると見込まれる。
 また、渋谷区の5月末時点の平均空室率は5.81%(前年同月比1.53ポイント増)。5%を超える結果となった要因としては、同区に集中しているIT関連企業や外資系企業の解約の動きが出てきたため。で、前年後半よりリストラによる解約の影響から、同区においても空室率が5%を超える結果となった。今年の新規供給量は、延べ床面積約12,000坪(5棟)となる予定だが、すでに竣工した3棟については、引き合いは多かったものの募集面積を残す結果となった。既存ビルについては、ハイグレードな大型ビルの募集面積が増加傾向にあり、このような案件には潜在需要が多いため、賃貸条件に割安感があるビルについては、大型の成約が決まったケースも出てきている。

【大阪】
 大阪ビジネス地区の5月末時点の平均空室率は10.19%(対前月比0.28ポイント増)となり、 2年ぶりに10%を超える結果となった。これは、主要6地区全エリアで空室在庫が増加したことによるもの。特に、淀屋橋・本町地区、船場地区、新大阪地区の各エリアで、空室在庫が1,000坪~1,800坪増加、リストラの動きも引き続いていることから、ビジネス地区全体では約5,400坪の増加となった。空室率をエリア別にみると、船場地区が13.19%と最も高く、最も低水準な梅田地区においても7.97%まで上昇している状況で、エリアを問わず厳しいオフィスビル市況が続いていることがわかる。とはいえ、新築ビルのオフィス需要については底堅さが感じられ、新築ビルに限れば空室率は8%台で推移。調査対象ビル5棟はおおむね高稼働を示しており、南森地区で5月に竣工した大型ビルに至っては、ほぼ満室で竣工を迎えた。一方で、既存ビルについては、新規需要の伸びがみられず、新たな誘致策を検討するビルも増えてきており、募集にもより柔軟な対応が必要になってくると思われる。
 また、四ツ橋沿線(西区)地区の5月末時点の平均空室率は12.80%とり、対前年同月比を1.11ポイント下げた。特に四ツ橋駅周辺では、店舗ニーズがおう盛なうえ、昨年7月に竣工した大型ビルについても、ほぼ満室で稼働。しかし、今秋に大手企業が梅田地区に移転する予定となっており、肥後橋周辺で空室が増加することが見込まれる。


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