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三鬼商事、東京・大阪の6月度「オフィスビル最新状況」発表

 三鬼商事(株)は12日、2002年6月度の東京・大阪のオフィスビル最新状況レポートを発表した。

【東京】
 東京ビジネス地区の6月末時点の平均空室率は5.92%(対前月比0.51ポイント増)で、9ヵ月連続の増加。大型新築ビル、大型既存ビルともに空室在庫を大幅に増やした。しかしながら、中央区において今年前半に竣工した大型ビル8棟については、ほとんどが満室または高稼動をみせており、その他の地域においても割安感のある延べ床面積1万坪以下の大型新築ビルの募集状況は好調となっている。
 その一方で、大型既存ビルについては、大手企業の本社移転に伴う解約予告やリストラなどの影響により、空室が増えるとともに募集賃料見直しの動きも出てきており、大型テナントがコストを抑えて拡張移転するケースも目立つようになってきている。
 大型供給やリストラの影響の少ない中型・小型ビルの市場については、空室率もほぼ横這いで推移しているものの、オフィス需要に伸びは見られず空室在庫減少にはいたっていない。
 なお、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビル市場では、テナント獲得競争がさらに激化、テナント誘致策を再検討するビルやリニューアルを検討するビルが多くなってきているものとみられる。

【大阪】
 大阪ビジネス地区の6月末時点の平均空室率は10.03%(対前月比▲0.16ポイント)となり、心斎橋・難波地区を除くエリアでの空室在庫の減少により、上昇に歯止めがかかった形となった。ただし、大型テナント移転の動きは鈍く、市況は低調な推移をみせている。中型・小型テナントについては、割安感のある好条件のビルへの借り換え移転の動きも見られるものの、縮小傾向があるため、空室在庫の減少にはいたっていない。
 賃料相場については、リストラ等の影響でハイグレードな大型ビルにおいても空室が目立つ状況であるため、募集賃料の見直しや、入居テナントの引き留め対応が強まってきている。
 なお、ソフトオフィスや店舗などの引き合いは依然強く、誘致に際し柔軟な対応をみせるビルも増えてきているものと思われる。
 また、梅田地区の6月末時点の平均空室率は7.64%となり、対前年同月比から1.02ポイント上昇した。今年の空室率は、5月末に8%寸前まで上昇をみせていたが、6月に入り募集中止やソフトオフィス需要などが出てきたことにより、前月比では0.33ポイント減少となっている。同地区では、8月に「中之島三井ビルディング(延べ床面積21,577坪)」、10月に「仮称・DT計画(同14,399坪)」がそれぞれ供給される予定だが、いずれも大手企業の需要によりほぼ満室稼動となることが決まっている。


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