三鬼商事(株)は12日、2002年8月度の東京・大阪のオフィスビル最新状況レポートを発表した。
【東京】
東京ビジネス地区の8月末時点の平均空室率は6.06%で前月と変わらずに推移し、11ヵ月ぶりに増加止まりとなった。前月同様、テナント企業の統廃合による解約があるものの好条件の大型新築ビルや、大型既存ビルに成約・入居が進み、空室在庫の増加傾向に弱まりが見えてきた。なお、8月完成の大規模ビル1棟と大型ビル2棟はいずれも全館満室で竣工しており、空室率上昇の歯止め要因のひとつと考えられる。
都心5区のオフィスビル市況は相変わらず不透明感が強いものの、賃料相場の弱含みが鮮明になってきている。ハイグレードビルに空室が増加したため、テナント誘致に柔軟な対応を行なう動きが生じている。特に割安感のあるハイグレードビルでは、大手企業の統合や集約による引き合いが増え、大型成約も見られる。
なお、中央区の8月末時点の平均空室率は6.81%(対前年末比2.06ポイント増)。今年前半は、来年竣工予定の大型ビルへシフトするための解約が目立ち、大型既存ビルの空室在庫が増加。一方、新築ビルは2~8月間に9棟完成したが大半が満室稼働である。また、好条件の既存ビルにも大型需要が出てきたため、今後は空室在庫解消が進むものと期待される。
【大阪】
大阪ビジネス地区の8月末時点の平均空室率は10.17%(対前月比0.13ポイント増)。梅田地区や淀屋橋・本町地区で空室在庫が増加したことによるが、他地区では成約・入居が進み、前月同様に横ばい推移したものの空室面積が減少している。なお、梅田地区では今年最大規模供給となった「中之島三井ビルディング」が竣工し、10月には「仮称/DT計画」が完成予定となっている。2棟の新規供給による影響は少ないと思われるが、リストラに伴う解約や館内縮小が相次ぎ、同地区の8月末時点の空室率は7%台後半に上昇している。
淀屋橋・本町地区の8月末時点の平均空室率は10.34%(対前年末比0.52ポイント増)。同地区における新規供給はなかったものの、リストラに伴う統廃合や館内縮小の影響を受け、7月末に再び10%超となった。景気低迷により新規需要が伸びず、募集賃料を見直すケースが増えている。しかしながら、御堂筋に面した大型ビル1階には商業テナントの出店が相次いでおり、大阪を代表するオフィスエリアの様変わりが続いている。