(株)長谷工総合研究所は20日、「ファミリー賃貸住宅市場の現状分析」をテーマとしたレポートをまとめ発表した。
同調査は、ファミリー向けの物件が若年層・小家族向けの賃貸住宅に比べて新規供給数、ストックともに少なく、多様な入居者ニーズにも対応しきれていない現状に鑑み、「ファミリー向けの住宅」という観点から分析を行なったもの。
これによると、1998年の住宅・土地統計調査をもとにした延床面積別賃貸住宅ストックの分布状況では、単身者向け30平方メートル未満、30~49平方メートルの物件が全体の70%を占めている。一方で、ファミリー向けと思われる70~99平方メートルの物件ストック数は、首都圏で31.4万戸(構成比5.6%)、近畿圏で21.5万戸(同7.2%)と、いずれも少ない状況。しかしながら供給数は、「住宅着工統計」からみると賃貸住宅、特に賃貸マンションの着工戸数は年々減少の傾向にあり、2002年1~9月で首都圏で8.0万戸、近畿圏3.7万戸と、数的需要に供給が追いついていない現状が分析される。
また、近年、若年層・小家族向け住宅については、デザイナーズ賃貸マンションやサービスアパートメントなど、多様なニーズに対応した住宅が増加。ファミリー向け賃貸住宅についても、ストック全体の改善を図るために、量質ともに、より充実した賃貸住宅の供給が必要であると思われる。