三鬼商事(株)は10日、2002年12月度の東京・大阪のオフィスビル最新状況レポートを発表した。
【東京】
2002年の東京ビジネス地区(都心5区)のオフィスビル市場は、大企業の本社移転やリストラに伴うオフィス移転が相次いで発生。そのため、空室増加に歯止めがかからず、2002年12月末時点の平均空室率は、対前月比3.33ポイント増の7.36%となった。
また、2003年の都心5地区のオフィスビル新規供給量は、延べ床面積627,363坪、過去10年間で最大規模の竣工ラッシュとなる。供給棟数は49棟で、そのうち延べ床面積10,000坪超の大規模ビルは16棟、さらに本社ビル・自社ビルが24棟(延べ床面積合計約190,000坪)。この本社ビルなどの大型供給の影響により、前年にオフィスビルから自社ビルへ移転する大企業の解約が相次いだため、オフィスビルの空室増加に拍車をかける要因となっている。一方2003年前半竣工の大規模ビルについては、前年中より満室・高稼働を予定するビルも出ており、大型既存ビルについても好条件(割安感など)の物件については引き合いが強まった。中型ビル(基準階面積100坪未満50坪以上)の空室率は対前月比1.25ポイント増の7.44%、小型ビル(同50坪未満)も対前月比0.35ポイント増の7.36%と、いずれも大型供給の影響はほとんどみられなかった。
なお、東京ビジネス地区の平均賃料は12月末時点で前年同月比▲3.44%(▲688円)の19,310円。大型供給の影響で空室在庫が急増したため、テナント誘致競争に拍車がかかり、またテナント側の経費削減要望の強まりなどにより、大型ビルでも募集賃料や契約賃料を調整するケースがみられた。大型新築ビルの平均賃料は前年同月比▲2.17%(▲580円)の26,170円、大型既存ビルの平均賃料は前年同月比▲3.58%(▲710円)の19,145円。中型ビルの平均賃料は前年同月比▲2.37%(▲350円)の14,415円、小型ビルの平均賃料は前年同月比▲1.30%(173円)の13,171円といずれも弱含みで推移している。
【大阪】
大阪ビジネス地区でも、大企業のリストラに伴う解約・返室の影響が出ており、2002年12月末時点の平均空室率は、対前月比1.07ポイント増の10.55%。2002年の新規供給量は延べ床面積約26,000坪(4棟)で、対前年比では2分の1以下となった。
梅田地区では大型解約などが続いたため平均空室率も上昇し8%超となり、その他の地域でも同空室率が10%超の市況に変化。しかしながら、心斎橋・難波地区では商業系テナントの進出が目立ち、平均賃料の下げ幅も小さくなっている。
2003年新規供給量は延べ床面積約50,000坪(8棟)で、今年最大規模の供給となる再開発事業「なんばパークス」(今秋完成予定)内の超高層オフィスビル「パークスタワー(延べ床面積19,058坪)」など大型供給が相次ぎ、新築ビルの需要は堅調に推移している。しかしながら一方、既存ビルについては不況下での大型供給となるため、市場への影響が懸念されている。