三鬼商事(株)は7日、2003年1月度の東京・大阪のオフィスビル最新状況レポートを発表した。
【東京】
東京ビジネス地区(都心5区)の2003年1月末時点の平均空室率は、対前月比0.39ポイント増の7.75%。7%台後半にまで空室率が上昇したのは、大型供給の影響に加え、リストラに伴う解約や縮小が続いたため。
しかし、大型新築ビルの募集状況は依然として堅調で、1月完成の「汐留シティセンター」(延べ床面積56,792坪)は満室稼動となった。とはいえ、一部の大規模ビルでは、募集面積を一時的に残したケースも見られ、大型既存ビルについては自社ビル供給とリストラの影響による募集面積の増加に歯止めがかからない状況であった。大型解約のあった物件では、再募集の競争力をつけるべく、設備等のリニューアルを実施するビルが増えている。
なお、千代田区では、昨年の大企業の統廃合や自社ビル移転に伴う解約予告などの影響を受け、1月末時点の平均空室率は対前月比0.26ポイント増の5.29%。しかし、昨年完成した大規模ビルや大型ビルについては竣工時より満室稼動するケースが多く、多地区に比べると新築ビルの募集状況は順調。2003年の新規供給述べ面積は11棟、15万3,000坪となる見込み。大型既存ビルについては、割安感のある好条件の物件に需要が高まるため、募集条件見直しの動きが続いている。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2003年1月末時点の平均空室率は、対前月比0.21ポイント増の10.76%。船場地区を除くエリアで空室在庫が増加、ビジネス地区全体では約4,300坪の増加となった。
1月に梅田地区に竣工した「梅田DTタワー」(延べ床面積14,403坪)は、大手通信関連グループの集約により満室稼動。既存ビルでは苦戦が続いているものの、経費削減に伴う借り換え需要なども出始めており、割安感のある好条件のビルには引き合いが見られる。この場合、テナント企業の要望への柔軟な対応が誘致の決め手となっている模様。
新大阪地区の1月末時点の平均空室率は、対前月比0.80ポイント増の12.06%。昨年は経費削減に伴う解約などが目立ったが、同地区は他地区に比べ根強い人気があるため、割安感のある好条件のビルへの入居が進み空室率上昇も小幅に留まった。昨年に引き続き2003年も大型ビルの竣工はなし。比較的大型のビルが集中する西宮原地区では、経費削減のため借り換えを検討するテナント企業に対しての賃料調整が進んでいる。