(財)日本賃貸住宅管理協会情報調査研究会は、地域ごとの市況の推移(景況感)の把握を目的として行なっている賃貸住宅市場動向調査をまとめ、その結果を発表した。
同調査は、政令指定都市を中心に21のエリアを設定し、単身者用物件、ファミリー用物件(居室が2つ以上)について、協力会員(エリアごとに各支部長が企業を委嘱)に対してアンケート調査を実施したもの。 調査対象期間は、2002年8月から11月の4ヵ月間。
これによると、平均賃料では単身者用、ファミリー用ともに1位は東京都、2位は神奈川県、最下位は札幌市であった。全4ヵ月からの増減では、ファミリー用物件が札幌市で▲8,302円、金沢市で▲8,690円、大阪府で▲5,307円と目立った落ち込みをみせた。入居率の平均値をみると、単身者用では1位は京都府の96.30%であり、以下埼玉県、名古屋市、東京都で95%を超え、最下位は福岡市の81.67%。ファミリー用物件では1位が大阪府の95.20%、2位の京都府が95.08%、最下位は広島市の84.47%であった。
調査項目のひとつである「トラブルの傾向」に対しては、家賃滞納の増加を挙げるエリアが多く見られた。景気低迷による給与カットや退職等を原因として長期入居者が突然滞納者となるケースが増えている模様。入居者が無収入になったことにより「支払い遅延」ではなく「回収不能」が増えていることから、対策としては「滞納保証を利用する」会社が増えてきていることも報告されている。
同研究会では、騒音のようにモラルで済む問題ではないだけに深刻な事態とみており、滞納抑止の観点から、督促の専門部署を設置するなどの早期取り組みに力を入れる必要があるとしている。