住宅金融公庫は1日、平成15年度事業計画を公表した。
平成15年度の事業計画においては、「特殊法人等整理合理化計画」の趣旨を踏まえ、中堅所得者の方などの住宅取得を支援し、かつ良質な住宅ストックの形成を図るべく、融資の重点化およびスリム化、民間住宅ローン債権の証券化支援事業の創設などが盛り込まれた。
これによると、必要戸数については、国民のニーズを適格に見据えたものとし、37万戸(前年度50万戸)に設定された。
融資制度の改善点については、「融資の重点化・スリム化」を図るために、特別加算額の縮減や、マンション建て替え、密集市街地の整備に対する支援などを行なう。具体的には、特別加算額の段階的縮減として、マイホーム新築(土地なし)等は現行の250万円から150万円に、マンション購入の場合は現行の400万円から200万円に変更される。
また老朽マンションの建て替えによる都心居住の再生支援を目的に、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」による認可を受けたマンション建替事業につき、敷地面積要件の緩和や空地要件の適用除外などの要件緩和を実施。密集市街地の整備に対する支援としては、「密集市街地における防災街区の整備に対する法律」の改正に合わせた都市居住再生融資等を行なっていく。
その他、マンションの適正な維持・管理の促進のため、住宅債権(マンションすまい・る債)における1口当たりの積立額を100万円から50万円に引き下げ、小規模マンションにおいても積み立てやすい額とすることにより、利便性の高い制度へと改善する。
また、特に本年度は、住宅ローン債権の証券化の推進に注力する計画となっており、「長期・固定金利の住宅ローン」について、民間金融機関等による供給を促進すべく、証券化支援事業(買取型)を創設。同制度は、民間金融機関等の貸付債権を買い取り、信託会社等に信託、当該債権を担保とした住宅金融公庫債券を発行することにより「長期・固定金利の住宅ローン」の供給を支援するもので、本年度は買取戸数10,000戸、買取金額2,000億円を計画している。公庫では買い取り基準を設けており、平成15年度後半から貸付債権の買い取りを実施する予定。さらに16年度以降の実施予定として、証券化支援事業(保証型)の創設についても計画されており、両事業の創設については現在住宅金融公庫法等の改正案が国会に提出されている。
なお住宅ローン債権の証券化市場の活性化を図るため、資産担保証券の発行量について、本年度は8,500億円(証券化事業分1,500億円を含む、前年度6,000億円)に拡大する予定となっている。