国土交通省は21日、「宅地・公共用地に関する土壌汚染対策研究会」(座長:寺尾美子 東京大学大学院教授)が取りまとめを行なった「公共用地取得に土壌汚染への対応に関する基本的考え方(中間報告)」を発表した。
2002年10月に設置された同研究会では、宅地取引や公共用地取得における土壌汚染問題への対応について、わが国における土地取引の実態をふまえ、2003年3月31日までの期間4回にわたって調査・研究を実施。今般、社会資本整備に携わる者の適正かつ円滑な公共用地取得に資するものとして取りまとめた中間報告を明らかにした。
中間報告によると、公共用地の取得に際して、当該土地の事業者が事前に土壌汚染の有無およびその状態の確認を行なうことが必要であり、土壌汚染対策法に基づく措置の確認、土地利用履歴や過去における土壌汚染の調査履歴の確認を行なうとともに、土壌汚染のおそれがないと認められなかった土地については、土地所有者等の協力のもと、事業者が土壌汚染の調査を実施する。また土壌汚染が存在する土地については、不動産鑑定評価基準において、不動産の価格形成要因として「土壌汚染の有無およびその状態」が新たに例示されたことをふまえ、土壌汚染の状況を減価要因として織り込み、土壌汚染が存在しない場合の評価格から一定額を減価。現段階では、土壌汚染対策法第7条の措置命令により求められる措置に要する費用相当分を減価するという考え方を示している。
なお同研究会では、土壌汚染対策法の施行状況、同法施行後の公共用地取得や宅地取引の実態、各方面からの意見等をふまえ、今後も引き続き調査・研究を進めるとしており、国土交通省において、今回の報告内容を参考に、公共用地の取得における土壌汚染への対応に係る取扱指針を作成する方針。