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全宅連、「住宅金融に係る」特別委員会検討結果を報告

 (社)全国宅地建物取引業協会連合会(略称:全宅連)では、2002年第3回理事会において「住宅金融・拡充等特別委員会」の設置を承認、「住宅金融検討ワーキングチーム」を編成して、研究・検討を行なってきたが、このたび報告書をまとめ、発表した。
 
 「住宅ローンの証券化」については、小泉内閣の特殊法人改革のひとつとしての住宅金融公庫の廃止決定、その後、新たな独立行政法人が証券化業務を行なうといったことから、議論・検討の必要性が説かれてきた。
 公庫の既存ローンの証券化については、2000年度から2002年度までで、8,500億円、2003年度は既存債権から7,000億円(計画総額8,500億円-1,500億円=証券化支援事業分-新規分) を予定している。新規住宅ローンの証券化については、都市銀行が財源を証券化による調達に頼るかどうかがひとつの焦点となる。公庫融資が縮小し、民間金融への消費者の需要が高まっている現在の状況が継続すれば、都市銀行等にとっても市場の需要に応じて長期固定融資の資金ソースの必要性がでてくることとなる。
 住宅融資による利ざやは民間金融機関にとっては大きな収益源であるため、証券化については消極的であるという見方が一般的だが、実際には公庫よりも早く既存債権の証券化に着手しているところもあり、新規ローンについてもさらなる拡大の可能性がみうけられる。都市銀行に比べ、相対的に体力の乏しい金融機関にとっては、融資債権を公的機関が買い取ることによって住宅融資ビジネスの拡大の面で大手都市銀行に対抗していくことができるのである。米国型のモーゲージ・バンカーがノンバンクの形で市場に登場してくる可能性も高い。
 日本の住宅ローンは、貸付金融機関が住宅ローン債権を自ら保有し、貸出から回収まで関与する場合が多いが、米国の住宅金融市場ではそれぞれの主体を分離する形態ができあがっている。まず、オリジネーター(住宅ローンの貸し手)が申請者に融資を実行し、その債権を証券発行体(SPC)に売却、SPCは、これをもとにMBSを発行し、投資家に売却する。つまり、住宅ローンの各種リスクを分散させることに証券化の意義があるといえる。
 
 同委員会としては、住宅ローンの証券化業務にいかに関わっていくかが大きな課題であるとみており、今後の方向性としては、モーゲージ・バンカーの設立、モーゲージ・ブローカー業の確立について注力すべきであるという結論に達した。
 特に、同会会員業者は、地域事情にくわしく、相談業務をうけているケースが多いなど、モーゲージ・ブローカー業を営むに当たってのメリットは大きいものと思われる。しかし、ひとつのフィービジネスとして確立させるためには、今まで以上の専門知識が必要になってくるとの考えから、各種教育制度の充実もまた必要である。
 なお、今後は、フィービジネスとしての確立および金融機関との提携について、常設委員会である「土地住宅対策委員会」に移行し、検討・対応していく方針。


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