国土交通省は11日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:八田達夫東京大学教授)が同日開催の分科会において「新たな住宅政策のあり方について」の建議をとりまとめ、中馬国土交通副大臣に提出したと発表。また併せて、国土交通省の委託調査とした行なわれた「公営住宅管理に関する研究会」(座長:小林重敬横浜国立大学大学院教授)が、その成果を報告書としてとりまとめたと発表した。
「新たな住宅政策のあり方について」は、6月24日に開催された同分科会において建議案をとりまとめた後、関係団体等へのヒアリングおよびパブリックコメント募集などを実施、これらを踏まえた上で、最終的にとりまとめられたもの。
同建議では、住宅単体のハード面に重点を置いたこれまでの新規供給支援型の住宅性能だけではなく、住まい方や住環境というソフト面に重点を置き、市場活用とストック活用を中心とした新たな住宅政策が必要であると提言。公的直接供給重視・フロー重視から市場重視・ストック重視へ転換するとともに、消費者政策の確立とセーフティネットの再構築、少子高齢化・環境問題等に応える居住環境の形成、街なか居住、マルチハビテーションなど都市・地域政策と一体となった政策が重要であるとしている。
さらにこうした政策を実施するための具体的指針として、住宅税制や住宅金融をはじめとしたさまざまな指針が示された。
一方、「公営住宅管理に関する研究会」は、2002年9月に国土交通省の委託調査として開始して以来6回にわたり公営住宅管理のあり方についての議論を重ねてきており、今般、その成果を報告書としてとりまとめた。
これによると、公営住宅に対するニーズは依然高いものの、一部の公営住宅において、多額の資産を保有する者等が比較的低廉な家賃で長期にわたって継続して居住する状況があるなど、不公平感が生じており、管理について「公平性」・「効率性」という視点からの見直しが必要であると指摘されている。
また、住宅困窮事情に適切に対応すべく、入居者の入居時および入居後の保有資産の把握・反映方策について検討するとともに、入居者選考のあり方や、地域事情をより反映した家賃のあり方についての見直しの検討も必要であるとしている。さらに、高額所得者に対する明渡請求等の対応など、入居者資格喪失者への対応についても盛り込まれた。