シックハウスは、ご承知のとおり、住宅から出るさまざまな化学物質によって室内空気が汚染され、人体に有害な影響をもたらす恐れがある。2003年7月1日には、シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるため、建築物に使用する建材や換気設備を規制する建築基準法改正が施行され、ますますシックハウスへの関心が高まっている。
タカラ住研が採用している「抗酸化工法」は、醗酵型微生物を培養して造る特殊酵素「抗酸化溶液」を、基礎、床、壁などに塗り込み、有害物質を完璧に防止し、省エネ、調湿、防カビ、防帯電、防塵、害虫忌避を同時に実現したもの。抗酸化工法自体は18年前、北海道で建築設計士をしている会田伸一氏が開発したもので、同社代表取締役・前田氏が建築に取り入れた。
鉄が錆びたり、物が腐ることを「酸化」といい、酸化しにくくすることを「抗酸化」という。人間や動物は活性酸素が原因で病気になったり、老化するが、それを抑制するのが抗酸化物質だ。同社では、材木、合板、流し台、ベニアなどに抗酸化溶液を塗っていく。これまで同社が抗酸化工法で施工した建築物には、有害物質がほとんどなく、数ヵ月も経つと持ち込まれた家具や防虫剤から発生した残存物質もなくなってしまうという。
7月の建築基準法改正では、シックハウスにならないように建材・内装制限と換気制限が法令化された。「ホースタ」という基準では、星4つの建材は、杉や桧といった天然素材となっているが、たとえ天然素材を使用した家でも、家具から発生した有害物質までは取れない。特に高気密、高断熱の住宅は、外気温の変化の影響は受けにくいものの、その反面、換気をしなければ屋内で発生する汚染空気が家中に滞留してしまう面もある。
抗酸化工法は、有害物質が含まれる素材でも、強力な抗酸化力を発揮し、揮発性物質、刺激性物質などシックハウスの原因となる化学物質をすべて分解、除去するため、天然素材をも超える健康な素材に変えてしまうという。
抗酸化溶液は空気と水でできており、化学薬品ではなく、副作用がない。つまり、害虫は生息できない環境になるが、人間には何の影響もないのだ。
実際に抗酸化の家に入居したお客さまには、アトピーや神経過敏症の方も多いが、家の中に入るとかゆみを忘れ、病院にも行かなくなったり、よく毛が抜けるペットの毛並みがきれいになったなど、「健康を回復できる家」として大変好評だという。
同社では、実際にお客さまに体感してもらうため、モデルハウスをオープンしている。全国から研究熱心な工務店経営者も多数見学に来ているとのこと。これから建築をご予定の方、シックハウスにお悩みの方、1度足を運んでみてはいかがだろうか。
リフォームブームなどでシックハウスに関心が高まる中、こうした取り組みが増えていくことを期待したい。(さ)