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長谷工総研、改正ハートビル法に関するレポートを発表

 (株)長谷工総合研究所は、「改正ハートビル法 -共同住宅における運用上のポイントと今後の課題-」と題したレポートをまとめ、発表した。今回のレポートは、2003年4月に改正・施行された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(略称:ハートビル法)」について、概観するとともに、共同住宅への適用内容を整理、住宅事業者にとっての今後の課題を考察したもの。

 同レポートでは、「改正ハートビル法」の要点を次の5点としている。まず、建築用途の拡充。これは「特定建築物」の範囲を学校や事務所、共同住宅まで拡大したもの。次に整備の義務化。バリアフリー化が努力義務であった特定建築物を、主として高齢者や身体障害者などが利用する建築物とともに「特別特定建築物」に指定し、一定規模以上の新築・増改築・用途変更を行なう場合に「利用円滑化基準」へ適合させることを義務づけた。また、既存建築物であっても「特定建築物」に該当する場合、特定施設の修繕・模様替えの際には「利用円滑化基準」への適合が努力義務となった。さらに、優良バリアフリー建築物の整備促進をめざし、同基準を満たす「特定建築物」は「認定建築物」とされ、容積率の特例や税制上の優遇措置を受けることができる。これらの法律施行に関する事務は所管行政庁に委譲された。
 共同住宅は「改正ハートビル法」によって「特定建築物」となり、共用部分で利用円滑化基準を満たすことが努力義務とされた。また、地方自治体の条例によって、「特別特定建築物」とすることも可能となった。しかし、バリアフリー化が一般的になっている近年、同基準を満たすのはさほど難しいことではなく、「住宅性能表示制度」が始まったことも手伝って、実際の取組みも着実に進展している。
 これらをふまえ、同レポートでは、法の思想を理解した上での柔軟な対応が必要だとまとめている。つまり、同法が特定の対象者だけに対するものではなく、結果として多くの人々に安全な都市や地域の生活空間を提供することになるということ。また同法を受けて、「福祉のまちづくり条例」を改正する地方自治体も多いため、対象となる共同住宅の規模や整備条件の変更などについては地域ごとに注意が必要であること。また、法律による強制ではなく、建築主や設計者の創意工夫による、正しい理解のもとでの、柔軟かつ積極的な対応が求められるであろうということなど。


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