三鬼商事(株)は7日、2003年11月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区の2003年11月末時点の平均空室率は、前月比▲0.06ポイントの8.37%。11月は都心5区で空室在庫が約6,000坪減少。同空室率は9月から上昇傾向はおさまっており、3ヵ月連続で小幅ながら低下している。同社では、大型新築ビルの募集状況が順調に推移していることや、好条件の既存ビルへの成約や入居が進んだためとみている。また、来年の都心5区の新規供給量は今年の約半分、来春竣工予定の大規模ビルや大型ビルの募集状況は順調に推移しており、満室あるいは高稼働を予定するビルが増えてきている。
渋谷区の11月末時点の平均空室率は、前月比▲0.64ポイントの7.16%。同区では、今年の新規供給量は5棟で、延床面積約4万6000坪。10月までに完成した大型ビルは3棟あるが、すべて満室稼働している。一方、大型既存ビルでは、前年に比べ募集面積は、やや増加しているものの、同区は新興企業の引き合いが多いため、割安感、好条件の物件では、成約・入居が進んでいる。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2003年11月末時点の平均空室率は、前月比▲0.05ポイントの10.47%。11月は南森町地区や淀屋橋・本町地区、船場地区で空室在庫が減少し、その影響から同空室率は2ヵ月連続の低下となった。今年は新規供給量が前年の約2倍であったものの、オフィスビル市場には大きな影響は出ず、空室在庫の増加は前年度比で約1,000坪に止まった。同社では、大企業の撤退などの動きが前年に比べて弱まったこともあり、今年の市況後退には歯止めがかかったものとみている。しかし、来年後半からは、再び大型需給が相次ぐため、市況低迷が続く見通し。
なお、南森町地区の11月末時点の平均空室率は、前年末比▲2.11ポイントの7.18%で、大阪ビジネス地区で同空室率が最も改善したエリアとなった。これは、同地区では早くから募集賃料の見直しが進み、割安感が強まったためである。また、11月は大規模ビルに他地区からの大型の集約需要がみられた。