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国交省、「既存建築物の改善と有効活用のための建築行政のあり方について」答申発表

 国土交通省は2日、社会資本整備審議会建築分科会(分科会長:岡田恒男東京大学教授)が同日開催の分科会において「既存建築物の改善と有効活用のため建築行政のあり方に関する答申」をとりまとめたと発表した。

 同分科会は、2003年8月に既存建築物制度部会を設置し、わが国の建築物がストックの時代への転換期にあり、既存建築物の有効活用と良質なストック形成が重要課題となっていることから、建築基準法における既存建築物に関する制度を中心に、今後のストック対策のあり方について集中的に審議を行なってきた。

 今回の答申については既存建築物対策の見直しの必要性、安全・衛生の性能確保に関して講ずべき措置について盛り込まれたものとなっている。

 具体的施策としては、保安上危険性が高いとみられる既存建築物に対し勧告等による予防的な対応を行なうことや、定期報告制度の遵守のためのチェック機構の整備とともに罰則規定の強化をあげている。また、増改築を行なう場合、即時に建築物全体を最新基準に適合させるという現行の遡及適用ルールは、改修によるストックの有効活用などの建築活動に著しい「凍結効果」を生じ、阻害要因ともなりうるとしている。
 そこで合理的かつ円滑に改修等を進めるための緩和措置として、全体的な改修計画を前提とした段階的な改修を認めるほか、防耐火や用途制限の緩和措置適用範囲に、小規模な増改築を行なう木造建築物の基礎の規定と大規模修繕・模様替を行なう際の日影制限等の集団規定を追加することなどを盛り込んだ。

 そのほか、当面講ずべき施策としては、改修を行なう際の資金的助成の充実や、円滑な用途変更を実現するため、性能検証の合理化などの措置についての検討が必要としている。さらに、今後継続的に講ずべき施策として、耐震性をはじめとする既存建築物の安全・衛生面の診断・評価や性能向上のための研究開発、技術指針の策定の必要性をあげている。また、そのためには、特定行政庁における情報収集や助成などの施策の総合的、計画的な進行と、それらについて国が横断的情報提供などの支援を行なうことが必要だとしている。


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