国土交通省都市・地域整備局は13日、都市における緑の政策に生かすために行なっている調査結果を発表した。緑化の推進と緑地の保全は、2004年3月に定められた「ヒートアイランド対策大綱」にも重要な課題として挙げられている。
今回発表された調査は、「都市の緑による熱環境計測」と「緑化効果の3次元シミュレーション」。
「都市の緑による熱環境計測」は、緑による熱環境改善効果を熱画像カメラで実際に計測して行なわれた。最近整備された都市空間の実例として選ばれた対象地は、「六本木ヒルズ(東京都港区)」。タイプの異なる緑化空間3地点で、2004年7月22日の午前10時から午後6時にかけて15分間隔で表面温度を計測、アスファルト塗装部分の表面温度と比較、分析を行なった。
その計測結果から、特に連続して緑が配置された個所や、まとまった緑が存在する所は、利用者にとって涼しい空間となっているのではないか、と推察される。
また、同日午後12時に、調査対象地の周辺1平方キロメートルを航空機から撮影した熱画像からも、住宅棟の屋上庭園で芝生で覆うなどの緑化を行なっている空間では表面温度が低くなっていることが分かった。
「緑化効果の3次元シミュレーション」では、都市生活での体感温度が緑によってどう変わるかを探るために、現状の街並みと緑化した街並みとを3次元CADで再現。東京工業大学の梅干野研究室が開発した熱環境の数値シミュレーションを用いて、表面温度分布を視覚的に表現し、体感指標となる平均放射温度(MRT)を計算、視覚的に表すことを試みた。
東京都港区南青山地区内の2.3haの区域をモデル地区に設定し、気象条件は真夏の晴天時とした。現況の緑被率18%に対して、総合的な緑化を施して同43%となった場合を比較した。その結果、アスファルト面などの裸地化および緑化をすすめることによって、都市空間の表面温度が広範囲にわたり大幅に下がることが示された。また、午後12時にはMRT値が気温相当となっている分布域が10%~20%へ倍増、特に歩道部分を中心とする快適性の向上が明らかとなった。