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長谷工総研、防犯対策への取り組みに関するレポートを発表

 (株)長谷工総合研究所は19日、「『安全・安心まちづくり』の推進と防犯住宅 ~進む防犯対策への取り組み~」と題したレポートをまとめ、発表した。今回のレポートは、自治体による条例制定など「安全・安心まちづくり」の視点で防犯対策を進める動きが活発化している中、現在の犯罪情勢の実態や、行政・関連団体などが進めている動きをまとめるとともに、今後のあり方を考察したもの。

 これによると、2003年の刑法犯認知件数(犯罪率)は279万136件と、前年までの増加傾向に歯止めがかかっているものの、大都市圏では依然犯罪率が高い傾向が見られている。
 
 そんな中、犯罪の起きる環境に着目し、物理的な環境設計(ハード的手法)とコミュニティづくり(ソフト的手法)を合わせた「防犯まちづくり」に注目が集まっており、各自治体でも条例制定などの動きが活発化。道路・公園・駐車場・住宅等の防犯性能向上に関する内容を盛り込むだけでなく、防犯対策の補助金交付や防犯アドバイザーの設置など、独自性ある取り組みも見られるようになってきている。
 中でも、2001年に全国で初めて総合的な街づくり条例を施行した大阪府では、行政・警察・地域・関連業界等が一体となり、犯罪が起こりにくい環境づくりに注力した結果、犯罪が減少しつつあり、2004年9月末までには15都道府県でも条例が制定されている。

 その他、今年4月には「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が「防犯性能の高い建物部品目録」15種・2,281品目を公表。今後対象品目の拡大が予想されている。
 また任意制度である「防犯モデルマンション」についても、7地域での運用がスタートしている。

 同社ではこうした現状に鑑み、行政対応の統一的見解や防犯診断に向いた人材育成など、犯罪抑止に向けた基盤整備の促進を期待するとしており、さらに、住まいの適正な維持管理や良好なコミュニティの形成により、既築住宅において防犯性能を維持向上させていくことが今後の大きな課題となると分析している。


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