清水建設(株)はこのたび、水の浮力を利用した世界初の免震構造システム「パーシャルフロート」を開発し、実用化したと発表した。
同システムは、水の浮力と建物の下に設置する複数の積層ゴムを利用し、巨大な貯水槽の中で建物が水に浮かぶよう設計し支える仕組み。自重の半分程度を浮力で支えることで地盤上の重量を減らし免震ゴムを小型化、支持構造の剛性を低くするため、地盤との絶縁性が高まり地震の影響を小さくすることができるという。
地震発生時における建物の揺れの終期を長くすることができるため、揺れの加速度を軽減し地震の影響を小さくしたり、軟弱地盤層での応答周期を通常の免震構造より長くするメリットがある。
また、地震後の火災時には、貯水槽内部の水を消火活動や生活水にも利用できるので、地域防災施設としてのマルチハザードも期待できるという。
なお、同システムを利用した、地下1階地上2階建て、延べ床面積約1,253平方メートルの技術研究所新風洞棟(東京都江東区越中島)を着工。貯水槽の規模は、平面積830平方メートル、深さ4.5メートル、貯水量は1,540トンで、建物の約半分が浮力により支えられ、残りの重量は水中にある建物底部の14個の積層ゴムで支えられるという。