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2005年基準地価公示に業界・各社がコメントを発表

 国土交通省より20日に発表となった「2005年都道府県地価調査(基準地価)」結果について、業界団体・各社のトップから以下のとおりコメントが発表された。

■(社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 藤田和夫氏

 平成17年都道府県地価調査は、全国的には引き続き下落傾向にあるものの、住宅地・商業地とも全国的な下落幅の縮小傾向が顕著となった。今回一層明確になった都心部での上昇基調や地方都市圏にまで波及した下げ止まり傾向は注目できる。  3月の地価公示や8月の路線価で見られた地価動向の変化がより鮮明となったが、これらが全宅連が長年取り組んできた流通課税の軽減措置や個人の長期土地譲渡益課税の引き下げ等の税制改正効果によるものと評価する。  住宅市場は現在、回復傾向にあり、また、今後第2次ベビーブーマー世代の大幅な住宅需要の増加も予想され、本会では消費者全体への住宅金融面での支援をするため、「全宅住宅ローン株式会社」を設立し、本年7月より東京地区を限定に営業開始し、10月からは全国展開を予定している。取扱い商品は公庫の「フラット35」で、対象物件は中古住宅まで拡大、手数料を105,000円に定額化し初期費用を抑え、かつ、最低水準の金利を実現している。東京地区の実績は好調で、消費者の住宅需要の底堅さと市場の回復を実感している。本ローン会社が消費者マインドを刺激し消費者の住宅購入の動機付けとなり、住宅市場の牽引役となることを期待している。  本会では、税制面、政策面に加え、住宅金融の側面からも業界全体を支え、資産デフレの解消、日本経済の本格回復の一助となるべく、本会の力を結集して取り組んでいきたいと考えている。

■(社)不動産協会 理事長 岩沙 弘道氏

 大都市の都市部を中心に上昇地点が拡がりをみせ、大都市部における地価の底打ち傾向が鮮明になった。わが国の景気が堅調であることに加え、都市再生や都心居住の推進、土地・住宅税制等により、ようやく健全な土地市場への転換がみえてきたものと思われる。  ただし、全国的には下落幅は縮小したものの地価下落は継続しており、資産デフレから完全に脱却するために、都市再生・地域再生を引き続き強力に推進する必要がある。とりわけ、平成18年度税制改正において現行の登録免許税・不動産取得税の軽減措置が継続されるとともに固定資産税の過重な負担に対する軽減措置が講じられることが不可欠である。

■三菱地所(株) 取締役 木村 惠司氏

 東京都区部では平成2年以来15年ぶりに全体で上昇に転じた。この地価反転の傾向は、東京都区部に近接する地域、大阪圏や名古屋圏の一部地域へと拡がりつつある。  企業年金をはじめ長期安定的な運用を重視する投資家の不動産投資も増加傾向にあるなど、国内外の資金が不動産投資市場に引き続き流入している。この様な状況を背景に、ファンドやリートの規模が急速に拡大し、投資対象メニューも多様化、対象エリアも都心部から地方主要都市へと確実に拡がっている。  特に商業地では、再開発や商業集積が進む優良地に対するファンドやリートの取得意欲は依然として強く、都心部の優良物件を中心に賃料上昇も反映した取引が行なわれている。  首都圏では高水準のマンション供給が続いているが、底堅い需要からディベロッパーの用地取得に対する意欲は依然強い。このため、優良なマンション用地はディベロッパー間の競合となることが多い。これにファンドやリートの旺盛な取得も加わり、都心部や都心周辺部の優良な住宅地でも取引は活発である。  不動産市場が持続的に成長していくためには、再開発や有効利用によって収益性を向上させていくことが重要となる。本年10月に「東京ビル」が竣工するが、当社では引き続き丸の内再構築を推進するとともに、あらゆるエリアでの不動産価値創造に努めていく。  このデフレ脱却の機運を逃さないためには、不動産の収益性をさらに高めるような施策が必要であり、収益性の負荷となる固定資産税・都市計画税等のさらなる軽減や流通税特例措置の延長を強く要望する。


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