三鬼商事(株)は11日、2005年10月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区における2005年10月末時点の平均空室率は、前月比▲0.06ポイントの4.38%。千代田区と渋谷区で大企業や中堅企業の制約が相次ぎ、大型既存ビルの空室解消が進んだ一方、中央区と港区では大型募集が開始されたことなどにより空室面積が増加した。
なお、賃料相場については、需給改善が進んだことから底入れ感が出てきており、好条件の大型ビルでは募集条件を小幅に上げる動きが見られる。
東京のオフィスビル市場では前向きな移転の動きが活発化、それに伴い2006年の平均空室率が4%を割り込む可能性も出てきた。9~10月は同空室率の低下傾向が緩やかになってきたものの、テナント企業の引き合いが依然多く見られることから、今後もオフィス需要の拡大が続くと見られる。
なお、港区の10月末時点の平均空室率は5.83%(前年同月比▲1.04ポイント)となった。同区では新築ビルの募集状況が好調で、竣工1年未満の大規模ビルや大型ビルがすべて満室稼働している。
また、大型既存ビルについても引き合いが多く好条件のビルに品薄感が出てきているものの、二極化も進んでいるため依然として空室率が都心5区で最も高水準になっている。
【大阪】
大阪ビジネス地区の10月末時点の平均空室率は8.08%(前月比▲0.13ポイント)。船場地区や心斎橋・難波地区では、来春の移転に向けた解約予告が出てきた一方、梅田地区と新大阪地区では大型テナントの成約が相次ぎ、エリアを問わず活発な移転の動きが見られた。
新築ビルの稼働状況は好調で、今年竣工した大規模ビルや大型ビルのほとんどが満室または高稼働している。
なお、梅田地区における10月末時点の平均空室率は、前年同月比▲2.65ポイントの6.23%となった。この改善は、大企業のグループ統合に伴う大型需要、コールセンター需要、ソフトオフィス需要などが相次いだことが大きな要因となっている。この影響により、同地区の既存ビルの空室在庫が大幅に減少した。
また、新築ビルのオフィス需要も旺盛で、2005年夏に完成した大規模ビル1棟もほぼ満室稼働している。以上の要因により好条件の揃った大型ビルに品薄感が出てきており、賃料相場の弱含みに歯止めがかかってきている。