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投資市場の全国的底上げ、透明性確保が成長のカギ/不動産投資市場検討小委員会が最終報告

 国土審議会土地政策分科会企画部会不動産投資市場検討小委員会(委員長:前川俊一明海大学不動産学部教授)は5日、2005年10月より実施してきた土地政策の観点からの不動産投資市場の検証、および今後進めるべき施策の方向についての検討結果を、最終報告として取りまとめた。

 報告書では、市場の自律力により価格の安定化機能の向上が図られる点、不動産の開発、管理、発展、再生サイクルが形成できる点を不動産投資市場の意義として挙げた一方、投資リスクが適切に開示されないことや、責任主体が不明確になることにより、物件管理がおろそかになることなどの問題点を提起。
 さらに、不動産投資市場の成長戦略として、長期安定資金の持続的流入、国際的地位の確立をはじめ、地方においても国際的視点に立った証券化のメリットを享受できるよう、不動産投資市場の全国的底上げ、市場の透明性(トランスペアレンシー)の向上が不可欠としている。
 特にトランスペアレンシーに関しては、世界で最も高いトランスペアレンシーを備えているとされているオーストラリアとの比較により、価格情報の開示、不動産投資インデックスの整備、電子化された不動産の履歴データの蓄積などを行なっていく必要があるとまとめている。

 また、具体的に講ずべき施策として、実物投資を可能とする安定的投資法制の見直し、公的セクターでの利用を円滑化する制度改善、年金資金等の流入促進に資するTMK等の借入先要件の改善や日本版アップリー税制の創設、JREITの海外投資解禁に向けた取組みなどを列挙。人材育成のための施策としては、地方における不動産証券化の人材不足を解消すべく、地方へのUターン、Iターン希望者や地方の不動産、金融関係に従事する者を対象に研修支援を行なう「証券化・地域マイスタープログラム(仮称)」の実施、地域において実験的に証券化プロジェクトを実施しようとする者により構成されるチームに対し、モデル事業として組成に必要な費用の助成等を行なう「不動産証券化チャレンジ実験工房(仮称)」の実施を検討すべきとしている。


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