三鬼商事(株)は14日、2006年6月末時点の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区(都心5区)における6月末時点での平均空室率は、前月より0.08ポイント改善の3.10%。引き続き空室解消は進んだが、6月も前月に続き大型移転の動きが鈍る中で港区や渋谷区で解約予告などが相次いだため、改善は小幅にとどまった。
都心5区ではエリアを問わず好条件の大型ビルに品薄感が強まっていることから、成約や入居のペースが弱まってきた模様。ただ、テナント企業の潜在需要は旺盛なため、引き合いが多くみられた。
新築ビルの募集状況は好調で、6月に完成した大型ビル4棟は満室や高稼働となっている。また、年内に完成予定の大規模ビルや大型ビルにも引き合いが強まっている。
一方、大型既存ビルについては好条件の大型ビルに品薄感があるため、大型移転の動きがやや鈍り、分室対応するケースが増えている。このような状況の中で、中型・小型ビルのオフィスビル市場にオフィス需要が伸びてきた。
中型・小型ビルでも需要拡大が続いており、東京都心のオフィスビル市場では、ビルの規模やエリアを問わず明るさが増している。
【大阪】
大阪ビジネス地区の6月末時点平均空室率は5.94%と前月より0.17ポイント改善し、6%を割り込んだ。同空室率が5%台後半となったのは8年5ヵ月ぶり。同空室率は2005年11月頃から改善傾向を続けており、大阪のオフィスビル市場は明るさを増してきている。
これは景気回復を反映してテナント企業のオフィス需要が拡大する中で、06年の新規供給量(延床面積約6,700坪/3棟)が大幅に減少していることが大きな要因となっている。
移転動向については拡張移転や新規進出などの動きが多く、好条件の既存ビルに成約や入居が進んでいる。この半年間にビジネス地区全体で減少した空室在庫は約3万坪に及んだ。
特に梅田地区では大型需要が相次いだため、6月末時点の平均空室率が4%台前半にまで改善し、好条件の既存ビルに品薄感が強まっている。また、05年までは引き合いが弱かったエリアでも引き合いが増えており、活気あるオフィスビル市場になっている。
なお、船場地区の6月末時点のオフィスビル平均空室率は7.70%となり、前年末比1.96%改善した。06年前半は割安感のある好条件のビルに成約や入居が相次ぎ、この半年間に空室在庫が約6,000坪減少した。
これは合併に伴う大型需要や借り換え需要、分室や新規出店などの動きが出てきたため。また、6月は大口の貸し止めが見られたことも同空室率を押し下げた要因となった。05年は御堂筋沿いの大型ビルが満室や高稼働し、大きな話題となった。06年前半は堺筋周辺や四ツ橋筋周辺でも引き合いが増え、当地区にもようやく需給改善の兆しが見えてきた。