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大型供給相次ぐも首都圏の空室率は横ばい/IDSS、物流施設の賃貸市況を調査

 (株)生駒データサービスシステム(IDSS)は24日、2006年上期の三大都市における物流施設の賃貸市況動向をまとめた。

 東京都における平均募集賃料(総平均)は6,470円/坪(2005年水準比3.0%上昇)、同平均募集賃料(中大型)は5,620円/坪(同2.6%低下)。募集面積1,000坪以上の中大型物流施設では、景気回復による引き合い増加を背景に需給は逼迫しつつあるが、割高な賃料コストを負担するテナントは少なく、賃料水準が上昇に転じる気配に乏しい。千葉湾岸エリアや川崎・横浜湾岸エリアでの大型案件が見込まれることも、賃料上昇を抑制する要因となっている。
 首都圏における空室率(マルチテナント型物流施設)の推移をみると、大型供給が相次ぎ上昇が懸念されたものの、空室率は前期(06年1月~3月)比1.1%上昇(8.6%)に留まった。新規供給が相次ぐ予定だが、物流ニーズの増加から竣工後に空室消化が順調に進む物流施設が多く、需要動向は堅調といえる。

 一方、愛知県の平均募集賃料は、総平均および中大型ともに上昇。平均募集賃料(総平均)は3,590円/坪(2005年水準比8.8%上昇)、同平均募集賃料(中大型)は3,130円/坪(同7.9%上昇)。
 低廉な賃料水準の募集事例を中心に空室消化が進み、集計値ベースの募集賃料水準を大幅に押し上げる要因となった。同一物件の設定賃料を増額改定する動きはほとんどなく、旺盛な引き合いに支えられながらも実勢ベースの賃料は安定的に推移している。

 大阪府の賃貸市況は、引き合いは増加、賃料水準も下げ止まり感がある。平均募集賃料(総平均)は4,690円/坪(2005年水準比4.1%低下)、同平均募集賃料(中大型)は3,940円/坪(同1.8%上昇)。平均募集賃料(総平均)は1997年以降下落基調が続いているが、水面下では中小物件に対する引き合いは徐々に増加しており、賃料水準の下げ止まりも期待できる状況となってきているが、大阪府や兵庫県では、今後マルチテナント型物流施設の供給予定だけでも20万坪程度が計画されており、需給動向の先行きは不透明としている。


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