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社会資本整備審議会、「今後の公的賃貸住宅制度等のあり方に関する建議」を発表

 社会資本整備審議会住宅宅地分科会は30日、「今後の公的賃貸住宅制度等のあり方に関する建議」を発表した。2005年9月の社会資本整備審議会答申を受け、今年3月から住宅セーフティネットの構築のための公的賃貸住宅制度のあり方を検討してきたもの。今回の建議は、6月に発表された「今後の公的賃貸住宅制度等のあり方に関する提言」を論点整理したうえ、パブリックコメントによる意見を経てまとめられた。

 同建議では、住宅セーフティネットの観点からみた賃貸住宅の現状について(1)質の低さ(2)公営住宅入居者の8.2%が収入超過者(3)特優賃の空家率の高さ(6.6%)(4)高優賃の供給伸び悩み(5)民間賃貸住宅の高齢者、小さな子供のいる世帯に対する入居制限、といった課題をあげた。こうした課題を踏まえて、公的賃貸住宅制度等の再構築の基本的方向を「重層的かつ柔軟な住宅セーフティネットの構築」とし、(1)家賃負担が問題となる低所得者への施策と入居制限を受けやすい高齢者等のための施策の2つの視点からの検討(2)既存賃貸ストックの有効活用と、次世代に承継できる質の高い賃貸住宅ストック形成(3)福祉施策との連携やNPO等の支援団体の活用を通じた高齢者等の居住支援(4)高齢者に加えて若年層、子育て層への支援強化、などを挙げた。

 公的賃貸住宅のセーフティネット機能の向上については、公営住宅は真に住宅に困窮する低額取得者の公平かつ的確な救済のため供給し、これを補完する公的賃貸住宅は、縦割りの制度を再編・一本化し、柔軟な利活用ができる仕組みとすること、高齢者・障害者世帯等に重点化した家賃負担軽減助成の構築などを挙げた。

 一方、これらをフォローするための民間賃貸住宅市場の環境整備については、高齢者や小さな子供のいる世帯等が入居可能な民間賃貸住宅に関する情報提供、家賃債務保証や居住支援の仕組みの構築、定期借家、保険や債務保証等によるリスクの低減・分散の仕組み、管理委託やサブリース等の多様な手法の活用による、合理的な賃貸住宅経営体制の確立の推進、などを挙げている。


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