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「ケミレス・タウンプロジェクト」モデル住宅棟に着工/東急ホーム

「ケミレスタウンプロジェクト」モデル住宅棟模型
建設地は現在、基礎ができあがった状態。基礎には、薬剤を使わない炭素系防蟻塗料を用いている

 東急ホーム(株)は29日、同社が参画する産学官の連携プロジェクト「ケミレスタウン・プロジェクト」(千葉県柏市)において、モデル住宅棟に着工したと発表。現地で説明会を開催した。

 「ケミレスタウン・プロジェクト」とは、化学物質(VOC)を極力低減した生活環境の普及をめざし、つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅前の「千葉大学環境健康フィールド」内で進められている産学官連携プロジェクト。千葉大学医学部・森千里教授を筆頭に、東京大学、北里大学の研究者らとも連携し、住宅メーカー5社(東急ホーム、積水ハウス(株)、(株)無添加住宅、(株)NRAハウジング、(株)高千穂)がモデル住宅棟を建設、千葉大学と共同で、シックハウス症候群が疑われる患者家族の宿泊などの実証実験を実施していく。

 説明会で千葉大学環境健康都市園芸フィールド科学教育研究センター助手の戸髙恵美子氏は、「環境改善型の予防医学の見地から、化学物質を極力下げたまちをつくっていく。化学物質に対する影響は非常に個人差がある。すべてを化学物質を低減したものにするのは難しくても、選択できる余地を設けたい」と語り、将来的には、同氏らが立ち上げたNPO法人ケミレスタウン推進協会において、「『(シックハウスの症状が)重症でもOK』『軽症ならOK』というように、3段階程度に分けて、部材や家そのものを認証する制度を作りたい」(同氏)と話した。
 また、東急ホームEBH研究所の吉田一居所長は、「すでにシックハウス症状がある人に対応するのではなく、シックハウスにならないためにもこうした対策が必要」と述べ、実証実験住宅には、同社の主力商品で、すでに高レベルの健康提案を実施している「ミルクリーク」を用い、ドイツのエコロジー建材やVOCをアクティブに低減する光触媒や炭素などを採用した建材、設備を導入していくことを明らかにした。

 各社のモデル住宅棟は来春にも竣工する見込みで、07年度よりプロジェクトが本格的にスタート。初年度は関係者が宿泊体験などをしてVOC濃度の測定を実施、08年度より、敷地内に設けた環境医学診療科でのカウンセリングを受けた患者とその家族を対象に、1週間程度の短期宿泊による実証実験を行なっていく。
 なお、住宅棟のある「プライベートゾーン」に隣接する「パブリックゾーン」には、VOCを低減した建材等を展示するケミレスギャラリーなどを設けた「テーマ棟」も建設される予定となっている。


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