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賃貸オフィスは貸し手市場に/JLL調査

 ジョーンズ ラング ラサール(株)は29日、これまで東京を中心とする首都圏の不動産に特化した調査レポート「東京プロパティ・インデックス」を発表してきたが、この度「アジア・パシフィック・プロパティ・ダイジェスト(APPD)」-日本版」と題する四半期レポートに衣替えしたと発表。

 APPDはもともとアジアパシフィック主要国の不動産マーケットを網羅する英語版レポートだったが、今後日本市場(東京)については日本版として随時発表する。

 2006年第3四半期の東京市場の概観として、(1)新規オフィスビルの供給不足感がある中で、貸し手優位が続いている。(2)賃料は9期連続して上昇、1995年時の水準にまで戻している。(3)国内外のファンドはCBD(中心オフィス街区)の物件に強い関心を示しているものの資産獲得が難しく、競合の結果、投資利回りの低下を招いている。(4)今後12ヵ月の予測として、賃料は引き続き上昇し、企業の業務拡大によりオフィス需要は高く、2007年竣工予定のオフィスビルは6割以上が既契約となっている。

 具体的には、(1)大手町・丸の内エリアでは賃料は国内最高水準(月額坪当たり4万6,515円)。(2)2007年完成予定のAグレードオフィスのテナントはほぼ確定済み。(3)赤坂・六本木エリアでもエリア内オフィス稼動率はほぼ100%。(4)複合開発「東京ミッドタウン」の完成により、当該地域の賃料(同3万8,528円)の上昇が予想される―としている。

 また、J-REIT市場については、同市場の過去5年間の成長は目覚しく、今年の新規上場はすでに11銘柄に上るものの、うち7銘柄が新規上場に公募価格割れを起こしており、設立企業の知名度や運用資産の内容などから二極化が進む様相を強めているとしている。

 同社リサーチ部門の責任者でアソシエイト・ダイレクターの赤城威志氏は「当期は総額2,000億円もの高額な取引が最優良オフィス街である丸の内でなされ、引き続き東京の中心に資本が投下されていることを実感した。資金を潤沢に持つファンドは多いが、投資適格物件が限られた市場では、こうした超大型売買はレアなケースと言える」と現状分析する一方、今後の状況については、「景気もいざなぎを超え、国内外の投資家はなおいっそう活発化していくものと思われるが、日銀の利上げも含め、今後の金融動向に注視したい。賃貸オフィス市場については、著しく低い空室率で当面は推移し、貸し手市場が展開されるだろう」としている。


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