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「今」の京浜東北線、「これから」の埼京線/トータルブレインがマンション市場分析

 分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、「平行路線沿線市場シリーズ」と題したレポート作成を開始。その第1回目としてこのほど、「京浜東北線(川口~大宮間)・埼京線(戸田公園~大宮間)沿線市場」を発表した。東京都心から大宮までを平行して結ぶ両線の埼玉県内部について、マンション市場の相違点と共通点、現況と今後の市場見通しなどについて考察したもの。

 ここ10年間の両沿線のマンション市場についてみると、京浜東北線は(1)供給量は年間2,000~2,500戸の範囲(2)平均価格3,000万円台後半、平均面積70平方メートル台前半、分譲坪単価160万円前後で安定。ただし、2006年は8%程度上昇傾向(3)平均半倍率は70%前後でそれほど好調ではない、とした。一方、埼京線は(1)供給量は年間1,000~1,500戸程度(2)平均価格は3,000万円台中盤、平均面積は70平方メートル台中盤、分譲単価は坪150万円台で、京浜東北線と比べ価格安め、面積広め(3)2006年には価格が10%程度上昇しており、京浜東北線とほぼ肩を並べている(4)販売率は79.5%。単価・販売価格の割安感と供給ボリュームが京浜東北線の半分程度という需給バランスが好販売につながっている、と分析している。

 今後の価格上昇については、現時点でももともと駅力の強いエリア、あるいは再開発などでポテンシャルの上昇しているエリア(京浜東北線では、浦和、北浦和、さいたま新都心、大宮。埼京線では、武蔵浦和、中浦和、北与野など)を筆頭に、順調に価格が上昇していた。また、中古マンション(築10年程度)の価格推移をみても、新築で人気のエリアが同様に順調な値上がりを続けていることから、2007年以降も新築マンションは10~15%以上程度の上昇が見込まれるとしている。

 同社は、こうした現況を踏まえた両沿線の評価について、京浜東北線は(1)沿線の街は熟成し生活がしやすく、現時点では埼京線と比べあらゆる面で圧勝(2)大規模な再開発計画が無い限り、今後の発展は望めない(3)都心へのアクセスは埼京線に劣り、地元色が強いため、東京圏からの人口流入も期待できない。マーケットも狭域となるため、需給バランスが重要となる(4)借家世帯数に対する供給ボリュームは多めであり、一部中域集客可能なエリアを除いて、供給ボリュームの限界が低い、などとした。
 一方の埼京線については(1)開発が可能な余地が広大にあり、将来性が楽しみ(2)新宿・渋谷をダイレクトに結ぶポテンシャルの高さが、京浜東北線に対する大きなアドバンテージ(3)交通利便性が高いことから、都心方面から集客が可能(4)沿線手前の中広域エリアから集客可能なため、需給バランスに左右されにくい。将来的には、京浜東北線を凌ぐ人気沿線に成長することが期待できる、とした。


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