「不動産取引における消費者への情報提供のあり方に関する調査検討委員会」(座長:岡本正治氏、弁護士・立命館大学大学院法務研究科教授)は、3回にわたり行なってきた検討結果を報告書にまとめた。
同委員会は、不動産取引を行なうに当たって必要な情報を、消費者が理解できる形で適切に提供するための方策を検討することを目的に、2006年9月に設置されたもの。
消費者や宅地建物取引業者へのアンケートおよびヒアリング等により把握した実態を踏まえ、現行制度の課題を抽出、対応策について検討を行なってきた。
報告書ではまず、重要事項説明を契約直前になされても、消費者が検討する時間的余裕が十分に確保できず、また説明に長時間を要することもあるため、どの項目が自分にとって重要なのか分かりにくくなっているとの課題を抽出。
それを受け、重要事項説明書を、説明の一定期日前に交付することが適当であるとし、具体的には3日前程度に交付することとの考えを示した。その際、消費者本人の書面での承諾がある場合は事前交付を不要とする、あるいは消費者の承諾が得られた場合にはインターネットや電子メールを用いて事前交付を行なうなど、柔軟な運用が図れるよう配慮することを検討すべきだとした。
また、重要事項説明書の事前交付をし、消費者が書面の記載を読めば十分に理解できる項目を選定、該当項目についての口頭説明は不要とすることが適当とした。
今後、取引形態ごとの取引実態等を十分に踏まえつつ、対応策の制度化を視野に入れた検討を具体的に行なっていく。