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「2007年 年頭挨拶」(各社)

三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙 弘道 氏
三井不動産販売(株) 代表取締役社長 岩崎 芳史 氏
三菱地所(株) 取締役社長 木村 惠司 氏
東京建物(株) 代表取締役社長 畑中 誠 氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 高島 準司 氏
森ビル(株) 代表取締役社長 森 稔 氏
森トラスト(株) 代表 森 章 氏
アセット・マネジャーズ(株) 代業執行役社長兼CEO 青木 巌 氏


■三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙弘道氏

 2006年を振り返ってみますと、当社グループでは、日本アコモデーションファンド投資法人が上場を果たし、三井不動産レジデンシャル、三井不動産販売は新たな組織でスタートして順調な成果を挙げました。さらに、地域の関係者や行政と連携し、街の特徴、固有の魅力を活かしながら、賑わいやアメニティ空間を創出する、大型商業施設を川崎、豊洲、柏の葉において相次いでオープンさせました。「攻めの経営」、「都市・地域再生」が着実に成果を上げた一年だったと思います。
 それでは、2007年はどんな年になるのか。今年から3年間で、今後の消費や投資の動向、社会のトレンドに大きな影響を与える700万人の団塊世代がリタイアメントの時期を迎えます。また、公的セクター改革も進展するものと予想されます。
 当社グループにおいては、こうした社会構造の転換、行財政改革が進展する中で、安定成長を遂げる日本経済、良好な事業環境を活かしながら、長期経営計画「チャレンジ・プラン2008」の戦略をイノベーティブにどう進化させていくか、が今年の最大の経営課題だと捉えています。
 都市・地域再生では、日本橋再生が新たなステージに入り、東京ミッドタウン、横浜での大型商業施設などの大型プロジェクトが相次いでオープンします。中でも、東京ミッドタウンは、当社グループの「都市再生事業の集大成の一つ」であり、住む人 働く人 訪れる人の交流や集積を、グローバルに活性化させ、日本の都市の魅力、国際競争力の高さを内外に示していきたいと考えております。
 一方、この夏にも金融商品取引法が施行され、不動産の私募ファンド、信託受益権等について、より高いレベルのコンプライアンス、行動規範が求められますので、更なる緊張感を持って臨む必要があると考えております。
 以上のように、今年は経済・社会の構造転換が進む中で、人々や社会の価値観・ニーズが、かなりのスピードで変化していく一方、グローバルな都市間競争が新たな段階に入る大きな変革の時期でもあります。従来の発想や価値観、経験則にとらわれず、豊かな感性と柔軟な発想を持って、不動産や街づくりに関する当社グループの価値創造力をイノベーティブに進化させる一年にしたいと考えています。そうした意味を込めて、今年のスローガンは、「大いなる変革期。挑め、イノベーティブな価値創造。」といたします。

■三井不動産販売(株) 代表取締役社長 岩崎 芳史 氏

~構造改革を加速させる年~

 2006年は、当社にとっても大きな節目の年でした。10月に、当社のルーツ事業であった新築販売受託事業を、三井不動産グループ事業再編の一環として製販一体の住宅新会社「三井不動産レジデンシャル」へ分割しました。それにより当社は、住宅流通事業の『リハウス事業』、法人向け事業用不動産仲介・コンサルティングの『アセットコンサルティング事業』、都心エリアの不動産コンサルティング事業の『都心事業』、そして総合駐車場事業の『リパーク事業』という不動産流通業と駐車場事業に特化した新生・三井不動産販売として新たなスタートを切りました。そのような意味において、2007年は当社にとって正に『新年』であります。
 また、当社の業績は大変順調に進捗しており、三井不動産グループの「チャレンジプラン2008」において掲げていた連結営業利益目標を今年度中に達成し、現在策定中の5ヵ年計画における大きな飛躍に繋げたいと考えております。そのためには既存の事業構造を顧客本位に大きく転換する必要があり、2007年は既に着手している構造計画を加速させる年と位置付けます。
 具体的な施策として、まずリハウス事業は、この春に30周年を迎えるのを機に、住みかえに係わるすべてのサービスをワンストップで提供する“ニューリハウス”を打ち出し、不動産流通ナンバー1のブランドに磨きをかけます。リパーク事業は“三井のリパーク”ブランドの浸透を図り、安心で駐めやすい駐車場を提供していきます。大きな事業チャンスを秘める都心事業は、都心不動産の相談窓口である“三井のリアルプラン”の拠点増設と新たな取り組みである都心不動産の再生コンサルティング事業を伸ばしていきます。アセットコンサルティング事業においては信託受益権売買をより一層強化するとともに、デューデリジェンスやプロパティマネジメントといったサービスメニューをより充実させることにより、フロー型ビジネスのストック化を更に推進してまいります。
 昨年6月に施行された住生活基本法においては、「良質な住宅ストックの形成」や「住宅取引の適正化・円滑化」などが大きなテーマとなっております。また、同じく昨年6月に改正された道路交通法においては、違法駐車の取締りが強化されました。これらは、いずれも当社のコア事業に関わる社会環境の変化であり、当社事業の社会的意義の高まりを大いに感じるところです。当社は本年を新たなスタートとし、お客様にとって、社会にとって存在価値の高い会社であり続けるための構造改革を加速させてまいります。

■三菱地所(株) 取締役社長 木村 惠司 氏

 本年4月27日に「新丸ビル」、秋には「ザ・ペニンシュラ東京」が開業し、東京駅周辺を中心に整備を進めてきた丸の内再構築の第一ステージが完了する。三菱商事ビル他の建て替えでスタートする第二ステージは、丸の内エリア全体に再構築を拡大し、併せて文化等の新たな機能の導入を目指す。
 2007年度は、現中期経営計画の最終年度に当たる。計数的な目標は既に達成した。同計画では「デベロップメントを核とした高い不動産価値創出能力を持つ不動産会社として確かな地位を築く」と目標を掲げた。三菱地所グループのDNAは「デベロップメントによって新しい価値を創造すること」であり、開発したものに、プロパティマネジメント、リーシング、販売などの不動産サービス機能を加えることによって、尚一層の価値創造を図ることができる。また、今年は、次期中期経営計画の基礎となる新しい改革の種まきをし、更なる成長、発展につながるような一年にしたい。
 グループ社員は人間力を高めてほしい。人間力の大切なポイントは3つある。第1に、学び、考え、実行することの三つがそろって、初めて学んだことになるという意味の「学思」という言葉があるが、学ぶだけではなく考え実行できるようになること。第2は、優しさ、誠実さを備えていること。第3は、健康であることである。各人が向上に努めるとともに、指導力もそのような人材の育成を心掛けてほしい。このような人材が、チームワークよく、対話を重ねてお互いの力を引き出し、活気を持って業務をおこなうような組織にしたい。

■東京建物(株) 代表取締役社長 畑中 誠 氏

 ここ数年、日本経済が大きな時代の変革期にある中、当社グループは不動産事業の在りようの変化を強く意識し、いち早く不動産証券化を活用し、都市開発事業や住宅開発事業に取り入れるなど、その変化に即応することでグループ全体の企業価値増大を目指してきた。その結果、平成18年度連結業績は5期連続の増収増益かつ2期連続の既往最高益となる見込みである。
 本年は、新たな飛躍を目指す「グループ中期経営計画」のスタートの年であるが、当社グループが今後も事業規模を拡大し発展し続けていくためには、常にお客様の視点に立って事業を推進するとともに、コンプライアンスに徹した事業姿勢を貫くなど、これまで以上に事業基盤の質的向上を図っていくことが重要となる。
 そこで本年度は、「更なる質の向上と新たな飛躍への挑戦」を基本スタンスとし、
1)グループの総合力を発揮し、顧客評価NO.1の実現を目指す
2)不動産証券化を軸とした事業活動の推進
3)コンプライアンスに徹し、確かな信頼を未来へ繋げる
4)全事業分野にわたるコストコントロールの徹底
を基本方針として、全役職員一丸となり、目標達成に向け果敢に挑戦して頂きたい。

■住友不動産(株) 代表取締役社長 高島 準司 氏
 
 この3月で終了する「巡航成長3ヵ年計画」は、当初の計画目標を大幅に超過達成する。過去最大の年間増益幅が、10期連続増収増益に花を添える。超低金利下の景気回復という不動産業界にとってまたとない事業環境下ではあるが、全社挙げての努力が報われた。
 引き続き4月から、10期連続増収増益路線の継続と、成長ペースの維持を基本方針とする「第三次成長3ヵ年計画」に取り組む。
 近年例を見ない好事業環境下の船出とはなるが、一方では用地取得難と原材料価格上昇も同時に急速に進行している。興隆の要因と衰退の要因は表裏一体といわれる。将来のリスクにも十分目を凝らさねばならない。
 幸い当社には、役職員が互いに信頼し、団結して事に当たる気風がある。今に浮かれることなく、率直な批判に耳を傾け、相互に啓発し、発想を出し合おう。問題の芽をいち早く摘み取り、成長の種を蒔き育てよう。
 持続的成長の実現に向けて、新計画スタートの節目の年を、実りあるものとしようではないか。


■森ビル(株) 代表取締役社長 森 稔 氏

 昨年は、2月オープンの「表参道ヒルズ」が期待以上の評判を獲得し、また11月に上場した、当社がサポートする初の投資法人「森ヒルズリート投資法人」が、上場後1ヶ月で約40%値上がりというリート史上の新記録を達成した。森ヒルズリートの市場での高評価は、当社がこれまで行ってきた仕事の評価であるとともに、我々の街づくりに対する期待の高さが反映されたものと考える。
 現在、日本経済はいざなぎ景気をも凌ぐ上げ潮にあり、当社の業績も拡大基調にあるが、今はまさに次の展開を展望する大切なタイミングにある。今後3年、5年、10年先の森ビルがどうあるべきか、当社のグランドデザインを改めて描き直す必要がある。確固たるヴィジョンのもと、何よりも重要なことは“スピード”であり、時代の流れを見越して、これまで以上に事業推進の効率化およびスピードアップを目指し、人材、組織、システム等の充実を図っていきたい。
 我々は、安全な都市の構築という社会的使命とともに、世界からも評価される魅力的な国際都市の実現に向け、先行的な都市モデルを創り続けていくことが使命である。日本経済と国民の生活の基盤となる魅力的な街づくりを推進するディベロッパーとして、社会になくてはならない存在になりたい。

■森トラスト(株) 代表 森 章 氏

 2007年の森トラストグループは、日本の産業大再編時代の中にあって、グループの第三のステージ「複合企業体経営」を加速し、新たなビジネスチャンスを開拓する時期と位置づける。
 第一ステージを総合ディベロッパーとしてスタートした森トラストグループは、オフィス・住宅・商業・ホテルを組み合わせた複合再開発事業を通じて信頼される街づくりを行ってきた。
 第二ステージでは、都市開発関連企業やホテル、その他多様な投資を積極的に行った。現在では、「不動産事業」「ホテル&リゾート事業」「投資事業」において、ノウハウを始めとする多くの経営資源が蓄えられてきている。
 第三のステージ、「複合企業体経営」のスタートとなった2006年は、森観光トラスト(株)の合併、リーガロイヤルホテルグループとの資本・業務提携、投資事業の一翼を担うMTラボ(株)の設立、そして森トラスト(株)の組織再編など、新たなステージの基盤作りを行った。
 今後は、不動産事業を主軸としながらも、森トラストグループの経営資源を有効に活かせる全ての事業を対象に展開する。不動産という「都市資産」から、「都市の価値」向上に貢献する事業全般へと広げていくことになる。これまで「多様な都市機能を複合した街づくり」を通して、最適な企業ポートフォリオを目指していく。
 これらの目標を達成していくために、日本の産業大再編という時代環境の中で、新たなビジネスチャンスを確実につかめる体制を強化する。内部統制や透明性の確保などをはかりながら、時宜を得た資産投資や資本・業務提携、M&Aなどを積極的に加速する。

■アセット・マネジャーズ(株) 代業執行役社長兼CEO 青木 巌 氏

『日本発、世界に通ずるマーチャント・バンク(投資銀行)に向けた飛躍の年』
1.今年は不動産業界のターニングポイント、「勝ち組」「負け組」の二極化が進む。
 昨年の不動産業界の動向を振り返りますと、国内の景気回復により、大都市圏の中心部における地価の上昇、オフィスビルや商業施設を中心とした賃料の上昇基調が鮮明となりました。過去のデフレ下において取得した物件の含み益の実現により、当社を含めた多くの不動産ファンド関連企業は高収益を達成することができました。
 しかし、今年以降、不動産価格の上昇基調の継続から、不動産の単純な売買から多額の売却益を獲得することは難しくなるでしょう。不動産ファンド業界においても、優良物件の発掘力や物件の管理能力等の優劣により、勝ち組、負け組の選別が進んでいくと考えております。
2.得意の開発型ファンドの取り組みで、不動産価格の上昇局面でも高いリターンを獲得。
 当社といたしましては、優良物件を開拓する“目利き”“物件の取得力”の更なるレベルアップを図り、受託資産残高を着実に積上げていくことを目指します。また、高度で様々なノウハウが必要で、競合相手が少ない開発型ファンドの取り組みを一層強化し、不動産価格の上昇局面の中でも高い収益を継続的に獲得していくことを目指してまいります。
3.海外M&A事業の拡大、マーチャント・バンクとしてアジア地域でのプレゼンス拡大。
 また、今年は、アジア・パシフィック地域を中心とした海外M&A事業の飛躍が重要なテーマとなると考えております。約二年前から、不動産ファンド事業、国内M&A事業に並ぶ主力ビジネスとなるべく、海外M&A事業の育成に注力してまいりましたが、昨年は、含み益を獲得した投資案件の一部売却により、当事業による収益貢献が本格化しました。今年は、これまでの投資成果をもとに、案件発掘力やファンド資金調達力を強化させ、日本初のマーチャント・バンクとして、アジア・パシフィック地域におけるプレゼンス(存在感)を向上させるとともに、海外M&A事業の一層の飛躍を目指してまいります。また、国内M&A事業についても、個別案件のバリューアップに注力し、早期の収益貢献の実現を目指してまいります。



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